一日一曲(1600)シュトラウスII世、ヨハン:芸術家の生活

 本日は、生誕200年(1825年10月25日生)を迎えらえたオーストリアの作曲家、ヨハン・シュトラウスII世さん特集の2回目です。

 1844年、ヨハン・シュトラウスII世さんは修行を終え、デビューコンサートに向けて準備を開始しました。ウィーンのダンス音楽の覇権を掌握していた父ヨハンは、自身と同名の息子が挑戦してきたことにい危機感を覚え、息子のデビューを妨害すべく、ウィーン中の名だたる飲食店に圧力をかけ、配下の楽団員には息子に味方することを禁じ、さらには新聞記者を買収して息子の中傷記事を書かせようとすらしました。これらの父の動きに対し、ヨハン・シュトラウスII世さんvも負けじと対抗、まだ父の息のかかっていない新しい飲食店に徹底的にアピールし、そして埋もれた有能な若手を中心とした音楽家の発掘に努め、さらに提灯記事を書いてくれる新聞社とも契約を結びました。当時の法律により、音楽家になるには20歳以上でなければならなかったのですが、当時ヨハン・シュトラウスII世さんはまだ18歳であった。そこでヨハン・シュトラウスII世さんは役所に行き、「父親が家庭を顧みないために生活が苦しく、私ひとりで母や弟の面倒を見なければならないのです」と涙ながらに訴えました。有名人の息子の願い出に対し、ついには頑固な役人も首を縦に振ることになりました。おまけに、家族を助ける青年音楽家という美談がウィーンに広まり、ヨハン・シュトラウスII世さんの印象が良いものになりました。デビューコンサートは大成功でした!『Der Wanderer』誌上には有名な批評「おやすみランナー、こんばんはシュトラウス1世、おはようシュトラウス2世!」が掲載されました。こうして父とはライバル作曲家となり、互いに競争を余儀なくされることになりました。1846年から1847年の間に、シュトラウス親子は同じオペラに基づく楽曲3つをそれぞれ作曲しました。しかしやがて親子は和解し、音楽上の協力までするようになりました。ヨハン・シュトラウスII世さんが東欧への演奏旅行に行っていた際、1848年革命が勃発しました。これに際してヨハン・シュトラウスII世さんは、ただちに祖国に戻り、オーストリア南部のシュタイアーマルクからウィーンの革命のなりゆきを傍観しました。そして市民側が優勢と判断し、革命支持者を名乗ってウィーンへ戻りましたた。そして、『革命行進曲』、『学生行進曲』、『自由の歌』などを作曲し、学生を中心とする若い革命参加者の先頭に立ちました。挙句の果てには、当時オーストリアでは禁制だったフランスの革命歌『ラ・マルセイエーズ』を演奏してみせました。このような反政府的活動によって、当時の宮廷からは嫌われることになりました。やがてヨハン・シュトラウスII世さんは革命運動に嫌気がさしてきて、革命が鎮圧されるとヨハン・シュトラウスII世さんはバリケードを片付け、元の生活に戻ろうとした。皇帝がフェルディナント1世からフランツ・ヨーゼフ1世に代わると、ヨハン・シュトラウスII世さんは一転し『皇帝フランツ=ヨーゼフ行進曲』を作曲するも、皇帝からは何の反応もありませんでした。逆に、ラ・マルセイエーズを演奏したことから、要注意人物として警察に監視されるようになってしまいました。警察への出頭を命じられ、この時の様子を激しく細かく尋問されてしまいます。ここでヨハン・シュトラウスII世さんは、確固とした思想によるものではなく、単なる出来心にすぎない、と繰り返し供述した。最後には「もう二度と、このような馬鹿なまねはいたしません。ですから、どうかお許しを」と深く後悔した様子で警察官に誓ったとのことです。

 本日の曲は「芸術家の生活」です。本曲はヨハン・シュトラウスII世さんの「10大ワルツ」の一曲です。本曲はわずか数日で書き上げた、という逸話が残されています。初演は、昨日ご紹介したワルツ『美しく青きドナウ』初演の3日後にあたる1867年2月18日でした。ウィーン芸術家協会「ヘスペルス(Hesperus…「宵の明星」の意)」に献呈されています。ただ、この初演時の評判は散々なものだったそうです。本人は弟のヨーゼフに、「たしかにコーダは失敗だったと思うが、こんなワルツは悪魔にでも食われてしまえ!……しかし、なんとか成功させたかったものだ……」と漏らした、とのことです。現在では一転して人気のワルツとなり、晴れて「10大ワルツ」にもランクインするまでになりました。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
シュトラウスII世、ヨハン:芸術家の生活

シュトラウスII世、ヨハン:芸術家の生活(CD)

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