一日一曲(1643)アーレ、ヨハン・ルドルフ:イエスの甘き思い出

 本日は、生誕400年(1625年12月24日生)を迎えらえたドイツの作曲家兼オルガニスト、ヨハン・ルドルフ・アーレさんの曲をご紹介します。2年ほど前に没後350年でご紹介しましたが、それに続いて2回目の登場となります。

 アーレさんは、ドイツ初期バロック期の宗教音楽発展に重要な役割を果たした作曲家・オルガニストで、テューリンゲン地方ミュールハウゼンに生まれました。若くして音楽的才能を示し、ライプツィヒ大学で神学と音楽理論を修め、言葉の明瞭さと歌いやすさを重視するルター派教会音楽の理念を身につけました。1646年頃から故郷ミュールハウゼンの聖ブラジウス教会オルガニストに就任し、この地で宗教音楽の実践と教育に生涯を捧げました。同教会は後にバッハも務める名門であり、アーレはその音楽文化の基盤を築いた先駆者と評価されています。会衆が実際に歌える平易な旋律を志向し、独唱と通奏低音による宗教歌曲、賛美歌、教会祝祭のための音楽を多数残しました。特に『Geistliche Konzerte』をはじめとするシリーズは、後のドイツ・カンタータの源流を示す重要作として位置づけられています。また作曲のみならず、1655年には市の音楽監督に就任し、合唱・器楽の運営、若手音楽家の育成に貢献しました。さらに1661年には市長を務め、音楽家としてだけでなく地域社会の信頼を得た指導者でもありました。息子のヨハン・ゲオルク・アーレも音楽家となり、父の伝統を受け継ぎました。アーレさんの作品のいくつかは後世の賛美歌集に取り入れられ、彼の音楽文化はミュールハウゼンの伝統として残り、のちに同地で働くバッハにも間接的な影響を与えたと考えられています。1673年7月9日、ミュールハウゼンで死去。地域に根ざしつつ、ドイツ宗教音楽史に確かな足跡を残した作曲家でした。

 本日の曲は声楽曲「イエスの甘き思い出」です。「イエスを想うその記憶は心に真の喜びを与え、蜜よりも、すべてよりも優しいその存在は」といった意味合いの祈り・賛歌です。元の詩「Jesu dulcis memoria」は、中世から続くキリスト教の精神世界を映す賛歌で、多くの作曲家によってさまざまに音楽化されてきました。
 本曲はアルト、3つのヴィオラ(ヴィオール属かヴィオラ・ダ・ブラッチョ等)およびヴィオローネ、通奏低音(バッソ・コンティヌオ)という、声楽と複数の弦楽器+通奏低音による伴奏がついた、典型的なバロック様式のモテットです。敬虔な賛美の調べに、身心ともに浄化されるような感じがします。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
アーレ、ヨハン・ルドルフ:イエスの甘き思い出

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