一日一曲(1695)ホレンダー、ヴィクトル:愛の季節

 本日は、昨日ご紹介した作曲家の父親である、ヴィクトル・ホレンダーさんの曲をご紹介します。

 ヴィクトル・ホレンダーは、1866年4月20日、プロイセン王国(現在のポーランド)のレオブシュッツという町に生まれました。ベルリンの新音楽学校で音楽の基礎を叩き込まれた彼は、卒業後、ロンドンやハンブルク、さらにはアメリカのミルウォーキーなどで指揮者として経験を積み、国際的なキャリアの土台を築きます。
 1890年代後半にベルリンへ戻ると、彼の才能は一気に開花しました。1901年から1913年にかけて、ベルリン随一の社交場であったメトロポール劇場の専属作曲家・音楽監督を務め、当時のベルリンっ子を熱狂させた「レビュー(時事風刺演芸)」やオペレッタを次々と発表します。彼の作るメロディは、都会的なウィットと親しみやすさを兼ね備え、黄金時代のベルリンを象徴する響きとなりました。
 しかし、1933年にナチスが政権を握ると、ユダヤ系であったホレンダーの生活は暗転します。自身の活動を禁じられ、身の危険を感じた彼は、1934年にアメリカへ亡命。ハリウッドへ移り住みますが、異国の地でかつての栄光を再燃させることは容易ではありませんでした。
 失意と混乱の時代を生き抜き、彼は1940年10月24日、ロサンゼルスのハリウッドでその生涯を閉じました。彼の音楽的才能は、名曲『いそしぎ』や映画『嘆きの天使』の音楽を手がけた息子フリードリヒ・ホレンダーへと受け継がれ、今も音楽史にその名を刻んでいます。

 本日の曲は歌曲「愛の季節」です。本曲は、ホレンダーが得意とした「ベルリン・オペレッタ」のスタイルが色濃く反映されています。初々しい春の芽生えから、情熱的な夏、少し寂しげな秋、そして静かな冬へと、恋の感情が変化していく様子が歌われています。

<聴きどころ>
1. 季節ごとに変わる「音楽の表情」
 この曲の最大の聴きどころは、季節ごとに変わる「音楽の表情」です。ピアノ伴奏と歌声が季節に合わせてガラリと雰囲気を変えています。
  春: スキップするような軽やかなリズム。恋の芽生えに心を弾ませる、初々しく明るい響きです。
  夏: メロディが大きく広がり、情熱をぶつけるような力強さ。太陽の輝きと、愛の絶頂を感じさせる華やかなセクションです。
  秋: 音が階段を降りるような「ため息」の旋律。短調の響きが混ざり、去りゆく時を惜しむような切なさと追憶が漂います。
  冬: 少しテンポが落ち、しっとりとした深い余韻。外の嵐を忘れるような、穏やかで温かい安らぎに包まれて曲を閉じます。
「今はどの季節を歌っているのかな?」と想像しながら聴くと、物語の中に引き込まれます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ホレンダー、ヴィクトル:愛の季節

ホレンダー、ヴィクトル:愛の季節(MP3ダウンロード)

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