一日一曲(1710)チャイルズ、バーニー:トロンボーンソナタ

 本日は、生誕100年(1926年2月13日生)を迎えらえたアメリカの作曲家、バーニー・チャイルズさんの曲をご紹介します。

【バーニー・チャイルズ:文学と音楽の境界を自在に行き来し、演奏者の人間性を音に変換し続けた異色の知性派作曲家】
 バーニー・チャイルズ(Barney Childs)は、1926年2月13日にワシントン州スポケーンで誕生しました。彼の音楽的な背景は非常に独特です。幼少期にピアノを習い始めましたが、若き日の彼は、公共図書館でヘンリー・カウエル(前衛音楽の先駆者)の雑誌を見つけ、独学で作曲の基礎を学びました。大学は音楽院ではなく、パシフィック大学で文学を専攻。その後、極めて優秀な学生に贈られるローズ奨学金を得てオックスフォード大学へ留学し、最終的にはスタンフォード大学でイギリス文学の博士号を取得しました。
 転機となったのは、1950年代初頭のタングルウッド音楽祭での経験です。ここでカルロス・チャベスやアーロン・コープランドから直接指導を受け、その才能を開花させました。1954年には、若手作曲家の登竜門であるクーセヴィツキー賞を受賞。この受賞は、彼が音楽の世界で本格的に評価される大きなきっかけとなりました。
 その後、アリゾナ大学やレッドランズ大学で教鞭を執り、文学と音楽の両方を教えるという唯一無二の教育活動を展開しました。彼は生涯を通じて「伝統的な美しさ」よりも「今、この瞬間の音」を重視し、演奏者が自由に選択できる「不確定性」の音楽を追求し続けました。
 晩年も、カリフォルニア州レッドランズを拠点に創作活動を続け、トロンボーン奏者やクラリネット奏者など、多くの名手たちのために挑戦的な作品を書き続けました。そして、2000年1月11日、同地にてその多才な生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:トロンボーンソナタ(1961年)】
 本曲は、トロンボーンという楽器が「たった一本」でどこまで表現できるかに挑んだ、現代トロンボーン界のバイブル的な存在です。伴奏がないということは、演奏者の「呼吸」や「迷い」、「決断」がすべて音に現れるということです。まるで一人芝居を観るような感覚で、その緊迫感を楽しんでみてください!

【聴きどころ】
1)「話し声」のような第1楽章
 最初の楽章は「レチタティーヴォ(叙唱)」と名付けられています。まるでトロンボーンが何かを語りかけているような、あるいは独り言を呟いているような、人間の息づかいを感じる音楽です。
2)演奏者が決める「形」
  チャイルズらしい「不確定性」の要素が含まれており、演奏者がその場で音楽の流れを判断する箇所があります。同じ曲でも、吹く人によって、あるいはその日の気分によって表情が変わるスリルが楽しめます。
3)トロンボーンの「限界」を楽しむ
 ピアノの助けがない分、トロンボーンの音色の変化がダイレクトに伝わります。スライドを駆使したグリッサンドや、激しいリズムの跳躍など、楽器のメカニカルな魅力が全開です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
チャイルズ、バーニー:トロンボーンソナタ

チャイルズ、バーニー:トロンボーンソナタ(MP3ダウンロード)

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