一日一曲(1711)クレメッティ、ヘイッキ:Requiem aeternam(永遠の安息を)
本日は、生誕150年(1876年2月14日生)を迎えらえたフィンランドの作曲家、ヘイッキ・クレメッティさんの曲をご紹介します。
【ヘイッキ・クレメッティ:フィンランド合唱界の父であり、民族の魂を歌声に刻んだ情熱の指揮者・作曲家】
ヘイッキ・クレメッティは、1876年2月14日、フィンランド北部のクイヴァニエミで生まれました。ヘルシンキ大学で言語学や歴史を学んだ後、ベルリンのシュテルン音楽院で音楽理論と合唱指揮を修得しました。帰国後、名門ヘルシンキ大学男声合唱団(通称:YL合唱団)やラウル・ヴェイコトといった合唱団の指揮者を務め、フィンランドの合唱レベルを世界最高峰へと引き上げました。彼は「歌声こそが民族の最も純粋な楽器である」と信じていました。作曲家、指揮者、さらに鋭い筆致の音楽評論家としても知られ、フィンランド音楽のアイデンティティ確立に大きく寄与しました。同時代の巨匠ジャン・シベリウスとは深い親交があり、シベリウスがクレメッティの合唱団のために曲を書いたり、クレメッティがシベリウスの作品を合唱用に編曲したりするなど、互いに尊敬し合う仲でした。
また、音楽以外でも才能を発揮しており、ヘルシンキ大学は1936年に哲学部の名誉博士号、1946年には神学の名誉博士号を授与しています。
1953年8月26日、首都ヘルシンキでその波乱に満ちた生涯を閉じました。フィンランド音楽史において「合唱の神様」とも称されています。
【本日のご紹介曲:Requiem aeternam(永遠の安息を)】
この作品は、クレメッティが深い祈りと学問的探求を注ぎ込んだ、ア・カペラ(無伴奏)合唱の傑作です。
クレメッティは、中世やルネサンス期の古い教会音楽を熱心に研究していました。本曲には、バッハ以前の音楽に見られるような、過度な装飾を削ぎ落とした「清らかな響き」が宿っています。
曲のタイトルはラテン語で「永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らしたまえ」という意味です。
クレメッティの音楽は、派手さこそありませんが、聴き込むほどにその誠実な祈りが心に染み渡ります。
【聴きどころ】
1)ポリフォニー(多声法)の美
ひとつのメロディを全員で歌うのではなく、ソプラノ、アルト、テナー、バスが、それぞれ独立したメロディを歌いながら、パズルのように重なり合っていきます。その「声の層」が重なる瞬間の心地よさを感じてみてください。
2)北欧の静寂
イタリアのオペラのような激しさはありません。代わりに、フィンランドの森や湖を思わせるような、静謐で透明感のある響きが特徴です。悲しみというよりは、穏やかな「魂の平安」を感じさせる音楽です。
3)独自の響き
この曲では、光がゆっくりと広がっていくような、クレメッティ独自の和音の使い方が聴きどころです。フィンランドの澄んだ空気の中で、音と音が混ざり合い、目に見えない光の粒子が舞うような響きをご堪能ください。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます
クレメッティ、ヘイッキ:Requiem aeternam(永遠の安息を)
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