一日一曲(1715)チェルハ、フリードリヒ:ヴァイオリンソナタ第1番
本日は、生誕100年(1926年2月17日生)を迎えらえたオーストリアの作曲家、フリードリヒ・チェルハさんの曲をご紹介します。
【フリードリヒ・チェルハ:伝統の都ウィーンに前衛の嵐を呼び込み、戦火を生き延びた魂の響きを綴り続けた孤高の作曲家兼バイオリニスト】
1926年2月17日にウィーンで生まれたフリードリヒ・チェルハは、音楽の都の伝統を背負いながら、それを解体し再構築することに生涯を捧げました。2023年2月14日、100歳を目前に同地で亡くなるまで、彼は常に音楽界の精神的支柱であり続けました。
彼の青年期は、まさに「死」との隣り合わせでした。第二次世界大戦中、ナチス政権に徴兵されるも、自由を求める彼は軍からの脱走を繰り返します。デンマークの山岳地帯に潜伏した際には、極寒の中で凍傷を負い、栄養失調に苦しみながら森で生き延びました。この時の極限状態の孤独や、自然界の静寂と恐怖が、後の彼の作風に深い影と緊張感を与えることになります。
戦後、ウィーン国立音楽大学(旧音楽アカデミー)で作曲とヴァイオリンを修めると、1958年にはアンサンブル「ディ・ライヘ」を設立。当時は異端視されていた現代音楽の旗振り役として、指揮・演奏の両面でヨーロッパ全土に衝撃を与えました。また、母校の教授として長年教鞭を執り、ゲオルク・フリードリヒ・ハースなどの優れた後進を育成。その功績により、オーストリア国家大賞や「音楽界のノーベル賞」と称されるエルンスト・フォン・ジーメンス音楽賞に輝くなど、名実ともに20世紀音楽の巨匠としての地位を確立しました。
【本日のご紹介曲:ヴァイオリンソナタ第1番(1946/47年)】
本曲は、チェルハが戦地から復員し、大学で学び始めたばかりの時期に書かれました。戦争の傷跡と、新しい時代への希望が交錯する瑞々しい作品です。
【聴きどころ】
1)「生還」の喜びと震え
過酷な逃亡生活を終えた直後の作品であるため、音の一つ一つに「今、楽器を弾けること」への切実な喜びと、戦争の記憶がもたらす震えるような繊細さが同居しています。
2)ヴァイオリニストとしての「手の内」
彼自身が名手だったため、ヴァイオリンが最も美しく、かつ劇的に響くように書かれています。初心者の方でも、楽器が持つ「歌う力」を存分に感じられるはずです。
3)古典的な型に見え隠れする「新しさ」
一見すると伝統的なソナタの形をとっていますが、ふとした瞬間に現れる不思議な音の重なり(不協和音)に注目してください。彼が後に現代音楽の旗手となる予兆が、スパイスのように散りばめられています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
チェルハ、フリードリヒ:ヴァイオリンソナタ第1番
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