一日一曲(1720)ラウリシュクス、マックス:リトアニアより
本日は、生誕150年(1876年2月18日生)を迎えらえたリトアニアにルーツを持つドイツ(プロイセン)の作曲家、マックス・ラウリシュクスさんの曲をご紹介します。
【マックス・ラウリシュクス:りトアニアの土着的な調べを、ドイツ・ロマン派の緻密な筆致で描き出した木管楽器の名匠】
マックス・ラウリシュクスは、1876年2月18日、当時はドイツ領プロイセンの一部であったインステルブルク(現在のリトアニア・チェルニャホフスク近郊)に生まれました。若くしてベルリンへ渡り、ベルリン高等音楽学校において、ブラームスの義理の弟としても知られるヴォルデマール・バルギールや、厳格な対位法で知られるフリードリヒ・キールらに師事しました。この学びが、彼の作品の根底にある堅牢な構成力を形作ることとなります。
彼のキャリアはベルリンを中心に展開されました。作曲家として活動する傍ら、教育者としても後進の指導にあたりましたが、その創作の情熱は常に自身のルーツであるリトアニアや東プロイセンの風土へと向けられていました。特に木管楽器の扱いに長けており、19世紀から20世紀への転換期にあって、リヒャルト・シュトラウスのような色彩感と、北欧・東欧的な哀愁を融合させた独自の作風を確立しました。
私生活の詳細は多く残されていませんが、ベルリンの音楽的伝統を継承しながらも、民族的な素材を芸術音楽へと昇華させることに心血を注ぎました。1929年12月20日、ベルリンにて53歳でこの世を去りました。彼の死後、作品は一時期忘れ去られかけましたが、近年、木管五重奏の重要なレパートリーを中心に、その抒情性と緻密なアンサンブルが再評価され、世界中で演奏機会が増えています。
【本日のご紹介曲:「リトアニアより(Aus Litauen)」 Op.23】
ラウリシュクスの名を今日に知らしめている、彼の最も重要な代表作です。リトアニアの民謡(ダイナ)を主題に取り入れ、木管五重奏という編成の限界を押し広げるような豊かな響きが特徴です。
第1楽章:土地と人々
タイトル通り、導入としてリトアニアの風土を紹介するような楽章です。ダイナそのものの引用というよりは、リトアニアの空気感を提示しています。
第2楽章:夕暮れの情景
リトアニアのダイナには自然の美しさを歌うものが多く、その精神的な広がりをアンダンテの穏やかなテンポで描いています。
第3楽章:ダイナ
ここが最も直接的に「ダイナ」を意識した楽章です。ここでの「ダイナ」は、特定の旋律を指すというよりは、
「リトアニアの歌の魂」そのものを表現していると解釈するのが自然です。「Allegro molto(非常に速く)」という指定からわかる通り、
しっとりした歌としてのダイナだけでなく、そこに潜む情熱や生命力に焦点を当てています。
第4楽章:村のセレナーデ
人々の生活に根ざした歌(ダイナ)が、村の夜に響いている様子をスケルツォ風の軽やかなリズムで描いています。
第5楽章:市場
組曲のフィナーレを飾るのは、活気あふれる「市場」の情景です。祭りの喧騒を思わせる躍動的なリズムが全編を支配し、
最後は5つの楽器が一体となった華やかな響きとともに力強く締めくくられます。
【聴きどころ】
1)素朴で切ない「民族旋律(ダイナ)」の引用
全編を通して、リトアニアの土の香りがするような、どこか懐かしくも切ない旋律が顔を出します。特に第1楽章の導入部などは、初心者の方でも一瞬でその独特な世界観に引き込まれるはずです。
2)5つの楽器による緻密な「色彩の魔法」
フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットという異なる性格を持つ5つの楽器を、ラウリシュクスは魔法のように使い分けます。ある時は一つのオーケストラのように重厚に、ある時は各楽器がソロのように自由に歌う、その変化が見事です。
3)情景が浮かぶ「ストーリー性」
「リトアニアから」という題名の通り、リトアニアの厳しい自然や、人々の生活、祭りの喧騒などを想起させる場面が次々と現れます。抽象的な音楽というよりは、一冊の旅日記を読んでいるような感覚で楽しめるのが大きな魅力です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラウリシュクス、マックス:リトアニアより
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