一日一曲(1727)カプースチン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲

 本日はカプースチンさんの月命日ですので、カプースチンさんの作品をご紹介します。

【本日のご紹介曲:ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲 作品105】
 ニコライ・カプースチンが2002年に書き上げた『ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲 作品105』は、彼の膨大な作品群の中でも、異なる個性の楽器が火花を散らすスリリングな傑作です。カプースチンといえば、クラシックの形式にジャズの語法を完璧に融合させたスタイルで知られますが、本作はその真骨頂とも言える「緻密な構成」と「即興的な躍動感」が同居しています。
 この曲は、独奏楽器としてヴァイオリンとピアノ、そして伴奏に弦楽オーケストラという編成を採っています。18世紀から19世紀にかけて愛された「二重協奏曲」や「コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)」の伝統を継承しつつも、響きは完全に21世紀のモダンなジャズ・イディオムに彩られています。全3楽章構成で、伝統的な急ー緩ー急の形式に従っています。
 特筆すべきは、2004年にモスクワでカプースチン自身のピアノ、アレクサンドル・チェルノフのヴァイオリンによって初演されたという点です。カプースチンは優れたピアニストでもあったため、ピアノ・パートには高度なテクニックが要求されます。同時に、ヴァイオリンに対しても、クラシック的なボウイングを保ちながらも、ジャズのオフビートやスウィング感を要求する極めて難易度の高い書法がなされています。弦楽合奏がリズムの土台を支え、その上で二つの独奏楽器が会話、あるいは対決するように展開していく様は、まるで緻密に楽譜に書き込まれたジャム・セッションを聴いているかのような興奮を聴き手に与えます。

【聴きどころ】
1)二つの楽器による「スリリングな対話」
ヴァイオリンとピアノという、音の立ち上がりも減衰も異なる楽器が、ジャズ特有のリズム感でいかに絡み合うかが最大の注目ポイントです。第1楽章では、お互いの旋律を追いかけたり、複雑なリズムをユニゾンで演奏したりと、息つく暇もないスピーディーな掛け合いが楽しめます。
2)第2楽章に漂う「都会的な叙情性」
 エネルギッシュな両端楽章に挟まれた第2楽章は、カプースチン特有の美しい和声が堪能できるスロー・テンポのセクションです。夜の都会を連想させるような、少しアンニュイで洗練されたメロディが、ヴァイオリンの艶やかな音色で歌い上げられます。ジャズ・バラードのような心地よさと、クラシック的な格調高さが見事に融合しています。
3)第3楽章の「圧倒的な疾走感」
 フィナーレとなる第3楽章では、弦楽合奏による刻みの良いリズムに乗って、独奏楽器が超絶技巧を披露します。シンコペーション(アクセントの位置をずらす技法)が多用され、聴いているだけで体が動き出すようなグルーヴ感が生まれます。カプースチンの「書かれたジャズ」の精緻さが、輝かしいフィナーレへと向かうエネルギーは圧巻です!

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カプースチン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲
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