一日一曲(1734)ロス、ジェリー:Hey There
本日は、生誕100年(1926年3月9日)を迎えらえたアメリカの作曲家、ジェリー・ロスさんの曲をご紹介します。
【ジェリー・ロス:*トニー賞連覇という栄光の絶頂で、わずか29歳の生涯を鮮烈に駆け抜けたブロードウェイの至宝】
ジェリー・ロス(本名:ジェロルド・ローゼンバーグ)は、1926年3月9日、ニューヨーク州ニューヨークのブロンクスにて、東欧系ユダヤ人移民の家庭に生を受けました。幼少期から音楽の才に恵まれ、イディッシュ劇場で子役として舞台に立ちながら音楽の基礎を叩き込まれました。ニューヨーク大学で本格的に音楽を学んだ後、1950年に生涯のパートナーとなるリチャード・アドラーと出会います。
二人の共同作業は驚くほど密接で、「どちらが書いたメロディか本人たちも区別がつかなくなる」ほど完璧に融合していたというエピソードが残っています。この類まれなコンビネーションから生まれたのが、1954年の『パジャマ・ゲーム』と1955年の『くたばれ!ヤンキース』です。これらは瞬く間に社会現象となり、1955年と1956年の2年連続でトニー賞の「最優秀ミュージカル作品賞」と「最優秀作詞作曲賞」の2冠に輝くという、演劇史に刻まれる壮絶な連覇を成し遂げました。
しかし、2度目の栄冠をその手で掴む直前の1955年11月11日、慢性支気管拡張症による合併症のため、ニューヨークのレノックス・ヒル病院にて29歳の若さで急逝しました。死後、相棒のアドラーは深い喪失感から一時創作が困難になるほどでしたが、ロスの遺した旋律は決して色褪せませんでした。今日でも彼の作品はブロードウェイで度々リバイバル上演され、映画化もされた名曲の数々は、アメリカ文化の重要な一部として世界中で愛され続けています。
【本日のご紹介曲:ミュージカル:『パジャマ・ゲーム』(1954年)より「Hey There」】
1954年にブロードウェイで幕を開けた『パジャマ・ゲーム』は、工場の労働争議という硬いテーマを、軽快な音楽とロマンスで包み込んだ傑作です。劇中、主人公シドが自身の複雑な恋心を吐露するバラード「Hey There」は、当時の全米チャートで首位を獲得するほどの大流行となりました。
【聴きどころ】
1)「自分自身とのデュエット」という斬新な演出
録音機に吹き込んだ自分の声に対し、後から重なるように歌いかけるという、当時としては非常にモダンで独創的な演出が取り入れられています。
2)一度聴いたら離れないキャッチーな旋律
ロスとアドラーの真骨頂である、親しみやすくも洗練されたメロディが特徴です。ポピュラー音楽としての完成度が極めて高く、多くのジャズ歌手にもカバーされています。
3)内面的な葛藤を描く繊細な歌詞
「Hey there, you with the stars in your eyes(なあ、目に星を浮かべている君)」と自分に語りかける歌詞は、恋への戸惑いと情熱を巧みに表現し、聴き手の共感を呼び起こします。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ロス、ジェリー:Hey There
ロス、ジェリー:パジャマ・ゲーム(amazon music)
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