一日一曲(1745)フェイス、リチャード:海の小品

 本日は、生誕100年(1926年3月20日)を迎えらえたアメリカの作曲家、リチャード・フェイスさんの曲をご紹介します。

【リチャード・フェイス:現代の荒波の中で、あえて「旋律の美」を貫き通した孤高の抒情詩人】
 リチャード・フェイス(Richard Faith)は、1926年3月20日、アメリカ合衆国インディアナ州のエヴァンズビルに誕生しました。彼の音楽人生は、わずか5歳の時に母親からピアノを教わったことから始まります。10代の頃には地元のラジオ番組で定期的に演奏を披露するなど、早くから頭角を現していました。
 名門シカゴ・ミュージカル・カレッジに進学した彼は、そこで伝説的なピアニストであり学長も務めたルドルフ・ガンツに師事します。ガンツから伝承された「色彩豊かなピアノの響き」は、彼の創作活動の核となりました。さらにフルブライト奨学生としてイタリアへ留学。ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミアで研鑽を積んだ経験は、彼の音楽にヨーロッパの気品と、豊かな和声の彩りをもたらしました。
 1961年から30年以上にわたりアリゾナ大学でピアノと作曲の教授を務めた後、晩年の2015年からはイリノイ州サヴォイの閑静な住宅地に移り住みました。彼は亡くなるわずか2週間前まで、友人や介護スタッフのためにピアノを弾き、作曲を続けていたといいます。音楽の美しさを生涯追求し続けた彼は、2021年2月28日、95歳の誕生日を目前にして、サヴォイの自宅にて惜しまれつつこの世を去りました。

【本日のご紹介曲:海の小品 (Sea Pieces)】
 リチャード・フェイスが1966年に作曲し、1968年に出版したクラリネットとピアノのための作品集です。海が見せる「静」と「動」の対比を、伝統的な形式を借りた2つの曲で鮮やかに描き出しています。
 クラリネットという楽器が持つ、温かく深みのある音色と、軽やかな技巧の両面を存分に楽しめる名曲です。

【聴きどころ】
1)クラリネットが歌い上げる「夜の海」
 第1曲「ノクターン」では、クラリネットのしっとりとした旋律が、夜の海面の静けさを描き出します。ピアノの伴奏と溶け合うような、幻想的なアンサンブルが魅力です。
2)波しぶきを感じる軽快な掛け合い
 第2曲「カプリッチョ」では、クラリネットの俊敏な動きが、波の躍動感や力強さを表現します。ピアノとのリズミカルなやり取りは、まるで波が岩に当たって弾けるような鮮やかさです。
3)歌声のような管楽器の響き
 歌曲の大家であるフェイスらしく、管楽器の曲であっても「人の声」のような自然な息づかいが感じられます。メロディの美しさが際立ち、物語を聞いているような感覚に包まれます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フェイス、リチャード:海の小品

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