一日一曲(1764)ベレンス、ヘルマン:弦楽三重奏曲ニ長調
本日は、生誕200年(1826年4月7日生)を迎えらえたドイツ出身で主にスウェーデンで活躍された作曲家兼ピアニスト兼指揮者、ヘルマン・ベレンスさんの曲をご紹介します。
【ヘルマン・ベレンス:「北欧のチェルニー」と称えられ、峻烈なる技巧と高潔な抒情をスウェーデンの大地に刻んだ鍵盤の騎士】
へルマン・ベレンス(Hermann Berens)は、1826年4月7日にドイツのハンザ都市ハンブルクで、軍楽隊長を務めるフルート奏者の父カールの長男として生を受けました。音楽一家という恵まれた環境で育ち、ドレスデンで名指揮者カール・ゴットリープ・ライシガーに作曲を、ウィーンでは巨匠カール・チェルニーにピアノを師事するという最高峰の教育を受けています。
1845年には名歌手マリエッタ・アルボニの演奏旅行に同行し、ピアニストとしての地位を確立しました。1847年にスウェーデンへ渡ると、1849年にエーレブルーの音楽監督、1860年にはストックホルムのミンドレ劇場の楽長に就任。1861年からはストックホルム音楽院(現・スウェーデン王立音楽大学)で教鞭を執り、1868年には教授に任命されるなど、スウェーデン音楽界の発展に心血を注ぎました。
彼はピアノ教則本『最新式の速度の訓練(作品61)』で今日でも学習者に親しまれていますが、室内楽においても弦楽器のポテンシャルを最大限に引き出す筆致を見せました。1880年5月9日、54歳でストックホルムにて没するまで、ドイツの伝統と北欧の詩情を繋ぐ架け橋として走り続けました。
【本日のご紹介曲:弦楽三重奏曲ニ長調Op.85,No.1】
本作は、ベレンスがストックホルムで円熟期を迎えていた1871年7月31日に完成された、全4楽章からなる堂々たる三重奏曲です。メンデルスゾーンを彷彿とさせる洗練された様式美と、北欧らしい清冽な響きが見事に融合しています。
【聴きどころ】
1)3つの楽器が織りなす緊密な対話
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの3挺が常に均等な役割を担い、主役が目まぐるしく入れ替わります。特に低音を受け持つチェロが旋律を朗々と歌い上げる場面が多く、弦楽器の豊かな響きを存分に堪能できます。
2)静謐な祈りと躍動するリズムの対比
荘厳で気品に満ちた緩徐楽章の美しさと、軽妙で遊び心あふれるスケルツォ楽章のリズム感が見事なコントラストを描いています。ロマン派音楽特有の、感情の揺れ動きが繊細に表現されています。
3)光に満ちたニ長調のフィナーレ
全曲を通じて貫かれている明るい色彩感が、終盤に向けて一気に加速していきます。緻密な対位法(複数のメロディを重ねる技法)を用いながらも、最後は突き抜けるような爽快感とともに締めくくられます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ベレンス、ヘルマン:弦楽三重奏曲ニ長調
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