一日一曲(1765)メリヒャル、アロイス:私の魂
本日は、没後50年(1976年4月9日没)を迎えらえたオーストリアの作曲家、アロイス・メリヒャルさんの曲をご紹介します。
【アロイス・メリヒャル:高潔な伝統を守り抜き、名歌手ジーリの歌声を至高の輝きへと導いたウィーンの守護者】
アロイス・メリヒャルは、1896年4月18日、音楽の都として名高いオーストリア=ハンガリー帝国のウィーンに生を受けました。地元の音楽院で基礎を学んだ後、ベルリン高等音楽学校へと進み、時代の寵児であったフランツ・シュレーカーに師事して作曲と指揮の奥義を極めます。1920年代に入るとドイツ・グラモフォン社の専属指揮者および録音監督に就任し、黎明期のレコード録音技術の向上に大きく貢献しました。1930年代には映画音楽の世界でもその才能を開花させ、ショパンの生涯を描いた『別れの曲』などの音楽監督として世界的な名声を博します。
彼の音楽人生において特筆すべきは、伝説的なテノール歌手ベニャミーノ・ジーリとの深い信頼関係です。メリヒャルはジーリのために多くの歌曲を書き下ろし、イタリア的な抒情性を自らの血肉としました。一方で、音楽界が12音技法や無調音楽へと傾倒していく中、彼は「ウィーンの伝統こそが音楽の正道である」との信念を崩しませんでした。1950年代には『音楽の変質』などの著書を出版し、前衛音楽を鋭く批判する論客としても名を馳せます。その妥協を許さない姿勢は時に論争を巻き起こしましたが、根底には古典的な美への深い敬意がありました。晩年は指揮活動とともに、自身の美学を次世代へ伝えることに情熱を注ぎます。古き良きウィーンの感性を生涯守り続けた彼は、1976年4月9日、西ドイツのミュンヘンにて約80年の生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:私の魂(Anima mia)】
本曲は1936年に発表されました。映画『アヴェ・マリア』の挿入歌として、主役を演じたベニャミーノ・ジーリによって歌われました。メリヒャルはウィーン人でありながら、イタリアの心が息づく情熱的な旋律を見事に描き出しています。
【聴きどころ】
1)黄金の喉を活かす旋律
ジーリの美声を最大限に輝かせるために設計された、高音域への劇的な跳躍と伸びやかなフレーズ。
2)伝統的な和声の美
メリヒャルが理想とした、耳に心地よく心に響く、ロマンティックで伝統的な調性音楽の響き。
3)情熱的なクライマックス
繊細な導入から始まり、愛の告白が最高潮に達する瞬間の圧倒的な高揚感。
本日は、ベニャミーノ・ジーリの歌でお聴きください!
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
メリヒャル、アロイス:私の魂
|
|
