一日一曲(1094)ブーニン、レヴォル・サムイロヴィチ:ヴィオラ・ソナタ ニ短調
本日は、生誕100年(1924年4月6日生)を迎えらえたロシアの作曲家、レヴォル・サムイロヴィチ・ブーニンさんの曲をご紹介します。
ブーニンさんはモスクワで生まれました。両親がロシア革命の支持者だったので、「革命(レヴォリューション)」からレヴォルと名付けられたそうです。幼い時から音楽に親しみ、1941年にモスクワ音楽院に入学し、研鑽を重ねました。1945年に卒業したのちは、レニングラード音楽院で当時のロシアの大家ショスタコーヴィチのアシスタントとなりました。1948年にショスタコーヴィチが「形式主義者」の烙印を押されて教職を追放されると、ブーニンも師とともに音楽院を去ることとなってしまいました。その後、音楽出版社に勤務したのち、1953年からはフリーランスの作曲家として活動されました。想像でしかありませんが、結構大変だったのではないかと思います。元来病弱であったようで、喘息に苦しみつつ52歳の若さで亡くなられました。
本日の曲は「ヴィオラ・ソナタ ニ短調」です。1955年、作曲者31歳の時の作品です。伝統的な3楽章形式で作られています。第1楽章は不安な感情が前面に出された第1主題とほのかな明るさを感じる落ち着いた第2主題とが良い対称をなしています。ブーニンさんは「穏健な十二音音楽を採用し、適度にアヴァンギャルドの要素を取り入れた」と評されていますが、本曲はとてもメロディックで、評された作風が確立する前の新古典的な作風の時の作品ではないかと思われます。第2楽章は、ヴィオラの低音域を活かした作られたメロディが印象的です。中間部、メロディがピチカートで奏でられる部分も素敵です。重々しい重音奏法で始まる第3楽章はすぐに急速かつ荒々しい動きとなり、スリリングな疾走となります。最後はテンポを落として静かに消え入るように終曲となります。
本曲、ヴィオラソナタの重要なレパートリーになってもおかしくないと感じました。本曲も「知られざる名曲」です!
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ブーニン、レヴォル・サムイロヴィチ:ヴィオラ・ソナタ ニ短調