一日一曲(847)三善晃:かなしみについて
本日は、没後10年(2013年10月4日没)を迎えらえた日本の作曲家、三善晃さんの曲をご紹介します。
三善晃さんは東京の阿佐ヶ谷で生まれ、幼少期からヴァイオリンと作曲を学びました。が、東京大学文学部仏文科に進学します。その在学中の1955年から1958年にかけてフランス政府給費学生としてパリ国立高等音楽院に留学しました。結局そちらは中退となりますが、大学卒業後は音楽の道に進みます。1963年東京芸術大学講師、1966年桐朋学園大学教授、1974年から1995年まで桐朋学園大学長と、教育分野でも活躍されました。その間、1970年芸術祭優秀賞受賞。1985年芸術選奨文部大臣賞受賞。1990年日本芸術院賞受賞、モービル音楽賞受賞。1991年東京都文化賞受賞など、数々の賞を受賞されています。1999年芸術院会員に選出、2001年文化功労者に選出されていらっしゃいます。
三善さんは、合唱曲を多く創られています。本日はその中から私の好きな詩人、谷川俊太郎さんの詩に曲をつけたのものをご紹介します。
「かなしみについて」 谷川俊太郎
はじめてのかなしみは
涙とりんご
ふたたびのかなしみは
叫びと海
三たびめのかなしみは
沈黙と小石
かなしみに耐えようとして
人はかなしみを見失う
四たびめのかなしみは
冷笑と
雑踏――
そして
最後のかなしみはもう
夢の中にしかない
(詩集『空に小鳥がいなくなった日』(一九七四年)より )
じんわりと胸に感動が広がってきます。実に美しい。静かに、かみしめながら聴いています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
三善晃:かなしみについて