一日一曲(1004)スメタナ、ベドジフ:弦楽四重奏曲第2番ニ短調

 本日は、生誕200年(1824年3月2日生)を迎えらえたチェコの作曲家兼ピアニスト兼指揮者、ベドジフ・スメタナさん特集の4回目です。

 1876年、52歳で耳が聴こえなくなったスメタナさんは、それでも作曲を続け、次々と傑作を世に出しました。やがて「チェコ国民楽派を代表する音楽家」であると評価されるまでになりました。評判と反比例するかのように体調は次第に思わしくなくなっていきました。頭には血がたまるようになり、眩暈や、痙攣、言葉や記憶の喪失と共に、鬱や不眠、幻覚などの症状が現れ始めます。精神状態も悪化をたどり、躁暴状態なども見られるようになりました。周囲は看病を行うことが難しくなり、スメタナさんは1884年の4月23日に、プラハの精神病院に入院します。そのままスメタナさんは正気に戻ることなく、同年5月12日に、スメタナさんはその病院で60歳の生涯を終えることとなりました。

 本日ご紹介するのは、1883年、死の前年に完成された「弦楽四重奏曲第2番ニ短調」です。スメタナさんは弦楽四重奏曲を2曲遺されましたが、どちらも聴力を失ってから書かれています。特に本曲は精神障害とも闘いながら書かれており、ご自身でも「(第1楽章は)楽章全体に精神錯乱の感じがいきわたり、演奏者にとってはすこぶる扱いにくいものになりそうです」と語っていらっしゃいます。
 第1楽章に限らず、全体的にいろいろな断片が現れては消えていくような曲です。生涯のいろいろな場面が走馬灯のように現れては過ぎ去っていくような、そんな感じの曲です。嬉しさ、悲しさ、激情、穏やかな気持ち、いろいろな感情も現れては消えていきます。正気と狂気の狭間で感じ取ったものを必死に譜面に書き記したのでしょうか。本曲は、第1番の弦楽四重奏曲のように副題はつけられていません。しかし、前曲では表現できなかった、「わが生涯」の零れ落ちた部分を補完しているような曲のように感じます。

 本日の演奏団体は、スメタナさんの名前を冠した弦楽四重奏団です。サイトがありましたので、下にリンクをはっておきます。
スメタナ四重奏団

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
スメタナ、ベドジフ:弦楽四重奏曲第2番ニ短調

スメタナ、ベドジフ:弦楽四重奏曲第2番ニ短調(MP3ダウンロード)

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