一日一曲(1907)ダヴィッド、フェリシアン:甘い思い出

 本日は、没後150年(1876年8月29日没)を迎えらえたフランスの作曲家、フェリシアン・ダヴィッドさんの曲をご紹介します。

【フェリシアン・ダヴィッド:19世紀フランスのオリエンタリズム音楽の潮流を決定づけた異国情緒漂う異色の作曲家】
 フェリシアン・ダヴィッド (Félicien David)は、1810年4月13日にフランス南部のカドネで生まれました。幼くして両親を亡くした彼は、エクス=アン=プロヴァンスの大聖堂で聖歌隊員として音楽の才能を磨き、19歳で同大聖堂の楽長に就任しました。その後パリ音楽院に入学するも短期間で退学し、当時先鋭的だった社会主義運動「サン=シモン主義」の教団に加わります。
 教団の活動として、ダヴィッドは1833年から1835年にかけて近東やエジプトへ旅行しました。この地で採譜した現地の旋律やリズムは、彼の音楽的アイデンティティの大きな礎となります。帰国後、中東での体験を盛り込んだオード・サンフォニー(語り手付きの交響的オード)『砂漠』(1844年)を発表すると爆発的な大ヒットを記録し、一躍時代の寵児となりました。
 その後もオード・サンフォニー『クリストフ・コロンブ』やオペラ=コミック『ブラジルの真珠』など、異国情調を盛り込んだ話題作を次々と発表しました。晩年は芸術院会員に選出されるなど名誉に包まれ、1876年8月29日にサン=ジェルマン=アン=レーにて66歳でその生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:甘い思い出(Doux Souvenir)】
 ダヴィッドが1856年に出版したピアノ小品で、「第4のメロディ=ワルツ(4ème Mélodie-valse)」というサブタイトルを持つ作品です。中東旅行の体験を経た後、1850年代にかけて発表された彼のピアノ叙情曲群のひとつであり、しとやかでノスタルジックな美しさに満ちています。

【聴きどころ】
1)優美でしなやかなワルツのリズム
 19世紀サロン音楽で親しまれたワルツの舞踏リズムを基調としながらも、優しく語りかけるような情感あふれるテンポ感が魅力です。

2)ノスタルジーを誘う流麗な旋律
 タイトル「甘い思い出」が示す通り、過ぎ去った日々を愛おしむかのような、流れるように美しく切ないメロディラインが心に響きます。

3)繊細で色彩豊かなピアノの響き
 大作で見せるオリエンタルで華やかな色彩感とは異なり、ピアノという楽器の親密で繊細な音色を最大限に生かした、上品でロマンティックな詩情を味わえます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ダヴィッド、フェリシアン:甘い思い出

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