一日一曲(1900)バクファルク、ヴァレンティン:ガリアルド第42番「Non dite mai」

 本日は、没後450年(1576年8月15日没)を迎えらえたポーランドの作曲家、ヴァレンティン・バクファルクさんの曲をご紹介します。

【ヴァレンティン・バクファルク:ポーランド・リトアニア王国の宮廷を中心に活躍し、ヨーロッパ中にその卓越した名声を轟かせたルネサンス期屈指の巨匠リュート奏者】
 ヴァレンティン・バクファルク(Valentin Bakfark, 1507年頃 – 1576年8月15日)は、ルネサンス期にヨーロッパ全域で名を馳せた最高峰のリュート奏者であり作曲家です。彼は1507年頃、トランシルヴァニア地方のブラショフ(現在のルーマニア領)に生まれました。若い頃から音楽の才能を示したバクファルクは、ハンガリー王ザポヤイ・ヤーノシュの宮廷に仕えた後、フランスなど各地を巡って研鑽を積みました。1549年から1566年にかけては、ポーランド王ジグムント2世アウグストの宮廷リュート奏者として全盛期を迎え、その圧倒的な演奏技術と洗練されたポリフォニーの対位法によって、名実ともに当時の音楽界における中心的存在となりました。その後はヴィルニュス、ウィーン、さらにはパドヴァなどヨーロッパ各地の宮廷や都市を転々とし、国際的な名声を得ました。彼の作品はそのあまりの難易度の高さから「バクファルクの後にリュートを手に取る者はいない(誰も追随できない)」とまで称えられたほどです。しかし生涯の晩年、1576年8月15日にパドヴァで猛威を振るっていたペスト(黒死病)により命を落としました。死を直前にして、彼は自らの手稿や楽譜の多くを焼却してしまったと伝えられていますが、奇跡的にいくつかの曲集や当時の写本によってその傑作が現代に伝えられています。

【本日のご紹介曲:ガリアルド第42番「Non dite mai(決して言わないで)」】
 この楽曲は、16世紀のヨーロッパで広く親しまれていたイタリア起源の躍動的な3拍子の舞曲「ガリアルド(Gaillarde)」です。バクファルクの卓越した対位法技術と、当時の歌曲のメロディを見事に融合させた格調高い逸品です。今回ご紹介するバージョンは、16世紀半ばに作成され、現在はウクライナのルヴィウ(ルヴォフ)にあるイヴァン・フランコ記念国立大学図書館に所蔵されている貴重な手稿本「クラコフのリュートタブ譜(ルヴィウのリュートタブ譜、UKR-LVu 1400/I)」に収録されているものです。この手稿本には「Bekwark(バクファルク)」という作曲者名が明記されており、1549年から1566年のポーランド宮廷時代に広く親しまれていたバクファルクのオリジナル作品が、極めて高い精度で忠実に写本・残されたものとして非常に大きな資料的価値を持っています。

【聴きどころ】
1)ルネサンス舞曲特有のリズミカルな推進力
 3拍子を基本としたガリアルドならではの軽快で心地よいステップ感と、躍動感あふれる律動をリュート1台で見事に表現しています。

2)精密かつ高雅なポリフォニーの織り成す響き
 単なるダンス伴奏にとどまらず、複数の声部が複雑に絡み合う高度な対位法が用いられており、ルネサンス宮廷の洗練された薫り高さを感じさせます。

3)当時の手稿本が伝える「生の演奏美」
 「クラコフのリュートタブ譜」にほぼ細部まで正確に書き留められた写本に基づいているため、16世紀当時のリュート奏者たちが実際に宮廷で奏で、楽しんでいた臨場感あふれる響きをそのまま体感することができます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
バクファルク、ヴァレンティン:ガリアルド第42番「Non dite mai」

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