一日一曲(1894)ボーデンシャッツ、エールハルト:ヨゼフよ、私の愛しいヨゼフよ
本日は、生誕450年(1576年生)を迎えらえたドイツの作曲家、エールハルト・ボーデンシャッツさんの曲をご紹介します。
【エールハルト・ボーデンシャッツ:バッハの音楽的インスピレーションの源泉となった17世紀合唱曲集の立役者】
エールハルト・ボーデンシャッツは、1576年にドイツのザクセン地方にあるリヒテンベルクで生まれました。幼少期より音楽的才能を示した彼は、名門校シュルプフォルタ(シュルプフォルタ州立学校)にてカントル(合唱指揮者・音楽監督)のセトゥス・カルヴィシウスに師事し、音楽の基礎を深めました。その後、ライプツィヒ大学へ進学して神学を修めました。
1600年には母校シュルプフォルタのカントルに就任して音楽教育に携わり、1603年からはレハウゼンの牧師、1608年からはクヴェルフルト近郊のグロース=オスターハウゼンで牧師を務めました。ボーデンシャッツは神職を務める傍ら、自作のモテットや賛美歌の作曲・出版を精力的に行いました。
彼の功績の中で特に有名なのが、当時の中部ドイツで歌われていた優れたモテットを集大成した曲集『シュルプフォルタ花摘集(Florilegium Portense)』の編纂です。この曲集は大変重宝され、後世の大作曲家ヨハン・ゼバスティアン・バッハもライプツィヒのトーマスカントルに着任した際、聖トーマス合唱団のためにこの曲集を追加注文して演奏に活用していたという印象的なエピソードが残されています。ボーデンシャッツは生涯を通じて地域社会の信仰と音楽の普及に尽力し、1636年9月7日にグロース=オスターハウゼンにてその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:ヨゼフよ、私の愛しいヨゼフよ(Joseph, lieber Joseph mein)】
この楽曲は、ボーデンシャッツが1608年に出版した聖歌集『Harmoniae Angelicae Cantionum Ecclesiasticarum(聖なる歌の天使の調和)』に収められている4声(SATB)のクリスマス・モテットです。
ルーツは14世紀までさかのぼる中世のラテン語聖歌『Resonet in laudibus(賛美の歌を響かせよ)』にあり、ドイツの伝統的な「Kindlwiegen(幼子イエスをあやす揺りかごの儀式)」から生まれたクリスマス・キャロルとして広く親しまれてきました。聖母マリアが夫ヨゼフに「幼子イエスの揺りかごを揺らすのを手伝ってください」と優しく語りかける親しみやすい内容となっています。
【聴きどころ】
1)4部合唱が描く澄んだハーモニー
ソプラノ・アルト・テノール・バスの4声(SATB)が整然と声を重ね合わせるホモフォニック(和声的)な響きが特徴です。素朴でありながら厳かな祈りの空間が広がります。
2)ラテン語とドイツ語が織りなす対比
「Virgo Deum genuit(処女は神を生み給うた)」という厳粛なラテン語の聖句と、「Joseph, lieber Joseph mein(ヨゼフよ、私の愛しいヨゼフよ)」という親しみやすいドイツ語の言葉が交互に現れる伝統的な構成が聴きどころです。
3)子守歌のような温かいリズム
イエスをあやして眠らせる際の「Eia! Eia!(エイヤ、エイヤ)」や「Sause, liebes Kindelein(お休み、愛しい幼子よ)」という掛け声が優しく響き、揺りかごが心地よく揺れるような温もりを感じさせます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ボーデンシャッツ、エールハルト:ヨゼフよ、私の愛しいヨゼフよ
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