一日一曲(1930)リーデル、ゲオルク、(現代):私たちは花

 本日は、昨日の作曲家と同姓同名のスウェーデンの作曲家、ゲオルグ・リーデルさんの曲をご紹介します。血縁関係はないようです。

【ゲオルグ・リーデル:北欧ジャズの礎を築き、映画音楽や子どものための歌を通してスウェーデン国民に愛された低音の巨匠】
 ゲオルグ・リーデル(Georg Riedel / Georg Martin Ludvig Riedel)は、1934年1月8日にチェコスロバキア(現チェコ)のカールスバート(カルロヴィ・ヴァリ)で生まれました。ナチス・ドイツの台頭による迫害から逃れるため、4歳だった1938年に家族とともにスウェーデンへと亡命しました。幼少期から音楽に親しみ、ストックホルムの音楽大学で本格的に学んだリーデルは、1950年代にはすでにスウェーデンを代表するジャズ・ダブルベース奏者として脚光を浴びるようになります。
 特に、ピアニストのヤン・ヨハンソンとともに制作した1964年のアルバム『Jazz på svenska(スウェーデンのジャズ)』は、民謡とジャズを高次元で融合させた大傑作として知られ、スウェーデン音楽史上屈指の売上を記録する金字塔となりました。
 しかし1968年、相棒であったヤン・ヨハンソンが交通事故により31歳という若さで急逝します。リーデルは残された彼の作曲仕事を引き継ぐ形で、アストリッド・リンドグレーン原作の映画『長くつ下のピッピ』の楽曲制作に取り組みました。これをきっかけに、彼は『エミル』や『やかまし村の子どもたち』など、数々の児童文学映画の音楽を次々と手掛け、その親しみやすく抒情豊かな旋律はスウェーデン中の子どもから大人までに親しまれる国民的ソングとなりました。
 彼の才能はジャズや映画音楽だけに留まらず、管弦楽曲、協奏曲、オペラ、合唱曲、さらには教会音楽に至るまで多岐にわたるジャンルでいかんなく発揮されました。2024年2月25日、長年暮らしたストックホルムにて90歳でその生涯を閉じましたが、彼が残した温かく味わい深い音楽の数々は、今なお北欧の文化遺産として大切に歌い継がれています。

【本日のご紹介曲:私たちは花(Vi är blommor)】
 本曲は、1989年に国連の「児童の権利条約」が採択されたことを記念し、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Rädda Barnen)」からの委嘱によって制作された感動的な合唱作品です。作詞を務めたのは、スウェーデンの国民的児童文学作家バルブロ・リンドグレーン(Barbro Lindgren)です。地球の未来を担う子どもたちを「繊細で逞しい花」に見立て、大人たちへ向けた誠実な問いかけと、子ども自身の可能性を力強く歌い上げています。

詩の日本語訳(概要訳)
 私たちは花、優しく育ててください。
 私たちは地球の希望。野に咲く花のように、自由に蕾を膨らませてください。
 私たちは花、折らないでください。
 私たちの情熱には限りがありません。
 暴力や死のない世界で、自由に大きくなれるようにしてください。
 私たちに喜ぶ勇気をください、千倍もの喜びを。
 私たちを信じて、温もりをください。
 外の世界はとても寒いから。
 私たちは子ども、そしてたくさんいます。
 私たちは地の塩。
 私たちの声に耳を傾けてください、私たちは強いのです。
 私たちは何だってできる、そう、何だってできるのです!

【聴きどころ】
1)子どもと大人の歌声が紡ぐ包容力あふれるハーモニー
 児童合唱(単声)の純粋でまっすぐなメロディに対して、4部編成の混声合唱(大人の歌声)が包み込むような温かい和声で寄り添い、世代を超えた深い絆を感じさせます。

2)ジャズの感性が光る優美な和声展開
 子どもたちが口ずさみやすい親しみやすい旋律でありながら、伴奏や合唱のバックにはリーデルならではのジャズに裏打ちされた洒脱なテンション・コードや優しい転調が施されており、哀愁と希望が入り混じる豊かな余韻を生み出しています。

3)未来への確信を歌い上げる力強いクライマックス
 「私たちは何だってできる(vi kan allt)」と歌うラストにかけて、合唱全体の響きが最高潮に達します。子どもたちの持つ無限の可能性と生命力が開放されるような、勇気と感動に満ちた盛り上がりは圧巻です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
リーデル、ゲオルク、(現代):私たちは花

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