一日一曲(1929)リーデル、ゲオルク:哀悼カンタータ「敬虔な魂の和する喜び」

 本日は、生誕350年(1676年6月6日生)を迎えられたドイツの作曲家、ゲオルク・リーデルさんの曲をご紹介します。

【(作曲者名):東プロイセンのケーニヒスベルクで長年にわたり聖歌隊長を務め、壮大な宗教音楽を遺したバロック期の巨匠】
 ゲオルク・リーデル(Georg Riedel)は、1676年6月6日にセンブルク(現在のポーランド領センポポル)で生まれました。若くして音楽の才能を示したリーデルは、ケーニヒスベルク大学(アルベルティーナ)で法学や神学を学びつつ、音楽理論と作曲の研鑽を積みました。1709年にケーニヒスベルクのアルトシュタット教会のカントル(聖歌隊長)兼音楽監督に就任すると、1738年に没するまでの約30年間にわたり、同地の音楽生活の中心人物として精力的に活動しました。
 リーデルは特に大型の宗教声楽曲の分野で才能を発揮し、聖書全章に基づく連続オラトリオや、大規模な聖歌、カンタータを数多く作曲しました。そのポリフォニックな対位法技術と感情豊かな表現力から、後世には「東プロイセンのバッハ」と称されることもあります。
 1738年2月5日、長年暮らしたケーニヒスベルク(現在のロシア領カリーニングラード)にて61歳でこの世を去りました。彼の作品の多くは18世紀のケーニヒスベルク市図書館等に手稿として保存されていましたが、第二次世界大戦の戦火により散逸・滅失したものも多く、近年になってその価値が再評価され復元・録音が進められています。

【本日のご紹介曲:哀悼カンタータ「敬虔な魂の和する喜び」】
 哀悼カンタータ「敬虔な魂の和する喜び」(Harmonische Freude pium animarum)は、1700年代初頭から1720年代頃にかけてケーニヒスベルクで作曲されたと推測される宗教カンタータです。当時のプロイセン地方における死生観や神への帰依を背景に、愛する者の死を悼むとともに、霊魂が天国で得る永遠の安らぎと喜びを讃えるために書かれました。親密な室内楽的編成から厳格な合唱までが巧みに組み合わされており、バロック期ドイツの伝統的な哀悼音楽の精神を色濃く反映しています。

【聴きどころ】
1)冒頭のアリアにおける深遠なポリフォニー
 作品の幕開けを飾る部分では、低音弦楽器と通奏低音の上に抒情的な旋律が重なり、深い悲しみと哀悼の意が密度の高い対位法で描かれます。

2)短調から長調への劇的な感情の遷移
 地上での別れの悲しみを表す短調の響きから、魂の救済と天上の歓喜を表現する明るい長調の和声へと移り変わる構造が見事で、言葉と音楽の見事な一致を味わえます。

3)声楽と器楽オブリガートの上品な対話
 独唱声楽に対して器楽パート(オーボエやヴァイオリン)が対等に絡み合うオブリガート技法が効果的に用いられており、哀愁を帯びた旋律線が美しく交錯します。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
リーデル、ゲオルク:哀悼カンタータ「敬虔な魂の和する喜び」

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