一日一曲(1795)クローリー、クリフォード:カラマルカ
本日は、没後10年(2016年2月11日没)を迎えらえたイギリス生まれで主にカナダで活躍した作曲家、クリフォード・クローリーさんの曲をご紹介します。
【クリフォード・クローリー:洗練された教育的視点と遊び心に満ちた現代的語法を操り、カナダの音楽教育と創作に新たな息吹を吹き込んだ音の探究者】
クリフォード・クローリー(Clifford Crawley)は、1929年1月29日、イギリスのエセックス州ダジナムに誕生しました。
彼はダーラム大学で学んだ後、レノックス・バークリーやハンフリー・サールといった20世紀イギリスを代表する作曲家たちに師事し、厳格な構成力と自由な発想を学びました。1952年から20年間にわたりイギリスの教育現場で指導にあたっていましたが、1973年にカナダへと移住。オンタリオ州キングストンのクイーンズ大学で教授に就任したことが、彼の創作活動をより豊かなものへと変えました。彼は同地で作曲と音楽教育の両面で中心的な役割を果たし、教育用音楽の質の向上に心血を注ぎます。
彼の音楽は「実用的であること」を美徳としており、カナダ音楽センター(CMC)を通じて発表された数多くの合唱曲やピアノ曲は、今もなおカナダ国内のコンクールや教材として欠かせない存在となっています。また、キングストン・ユース管弦楽団の指揮や、マレーシアへの教育コンサルタントとしての派遣など、その活動は地域社会から国際的な舞台にまで及びました。2002年にはニューファンドランド・ラブラドール州のセントジョンズに移住し、晩年も現地の音楽家たちと交流しながら、ユーモアを忘れない瑞々しい作品を次々と発表しました。
80歳を超えてもなお、デジタルデバイスに着想を得たピアノ曲集『iPieces』(2010年)を書き上げるなど、時代を捉える鋭い感性を持ち続けました。2016年2月11日、セントジョンズにて、多くの教え子や音楽仲間に見守られながら87歳でその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:カラマルカ(Kalamalka: Suite for Piano Duet)】
1978年に作曲された、ピアノ連弾のための組曲です。タイトルの「カラマルカ」とは、ブリティッシュコロンビア州にある美しい湖の名であり、先住民の言葉で「多色の湖」を意味します。その名の通り、光や季節によって劇的に色彩を変える湖の情景を、クローリー独自の洗練された響きで描き出した初期の代表作です。
【聴きどころ】
1)「多色の湖」を象徴する変幻自在な和音
エメラルドやターコイズに変化する湖面を想起させる、透明感あふれる和音の移ろいが特徴です。不協和音を効果的に使いながらも、決して濁ることのない清澄なピアノの響きを堪能できます。
2)伝説を想起させるミステリアスな旋律
湖にまつわる古い伝説を思わせる、どこか神秘的で内省的な旋律が随所に現れます。静寂の中に緊張感が漂う楽章から、一気に視界が開けるようなドラマチックな展開への対比が見事です。
3)連弾ならではの圧倒的なダイナミズム
二人で奏でるからこそ可能な、重厚な低音と煌びやかな高音の対話が魅力です。特に終曲(第4楽章)のPrestoでは、激しくうねる波のような力強いリズムが、ピアノ一台の限界を超えたスケール感を生み出します。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
クローリー、クリフォード:カラマルカ
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