一日一曲(1792)カステレード、ジャック:ピアノ協奏曲第1番
本日は、生誕100年(1926年4月10日生)を迎えらえたフランスの作曲家、 ジャック・カステレードさんの曲をご紹介します。
【ジャック・カステレード:伝統的な形式に現代の色彩を吹き込み、洗練された抒情を紡ぎ出した20世紀フランスの旗手】
ジャック・カステレードは1926年4月10日、フランスのパリで産声を上げました。彼の父は理髪店を営んでおり、その店の向かいにあったカフェでは毎週末のように「ル・バル・ネーグル」と呼ばれるマルティニークのダンス・パーティーが開催されていました。当時、ダリウス・ミヨーやフランシス・プーランクといった著名な芸術家たちも集ったその場所から漏れ聞こえる異国情緒あふれるリズムや色彩豊かな喧騒は、幼いカステレードの感性に深く刻まれ、後年の創作における重要な血肉となりました。学生時代には数学の分野でも抜きん出た才能を示しましたが、最終的に彼は音楽の道に身を投じることを決意します。パリ国立高等音楽院に入学した彼は、トニ・オーバンやオリヴィエ・メシアンといった巨匠たちの門下で研鑽を積み、1948年から1953年の間に和声、楽曲分析、ピアノ、室内楽、そして作曲のすべての部門で一等賞を獲得するという驚異的な成績を収めました。その集大成として1953年にはカンタータ『パンドラの箱』で、若手作曲家の登竜門であるローマ賞を受賞しています。その後もフランク、オネゲル、そして師であるメシアンらの伝統を独自の感性で統合し、旋律の明快さと抒情性を重んじる独自の作風を確立しました。 彼は優れた作曲家であると同時に、世界中を股にかけるヴィルトゥオーゾ・ピアニストとしても活躍し、さらには1960年から母校の教授として、また中国政府の要請で北京中央音楽学院でも教鞭を執るなど、教育にも情熱を注ぎました。華やかな成功を収めながらも、エリック・サティのような奇抜さやジョン・ケージのようなスキャンダルとは無縁で、常に謙虚で誠実な職人気質を貫き通した人物として知られています。晩年までその創作意欲が衰えることはなく、2014年4月6日、生まれ育った地であるパリにて87年の生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:ピアノ協奏曲第1番(ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲)】
この作品は、1954年のエクサン・プロヴァンス音楽祭のために書き下ろされました。同年7月18日、星空の下に広がる貴族の館の庭園で行われた初演では、カステレード自身がピアノ独奏を務め、ハンス・ロスバウトの指揮によって披露されました。全4楽章構成の中に、フランス音楽の歴史への深い敬意と彼自身の現代的な個性が同居しています。
【聴きどころ】
1)第1楽章「パストラル」の色彩豊かな転調
6/8拍子の穏やかなリズムに乗せて、ピアノとオーケストラが対話しながら「絶えず転調せよ」というセザール・フランクの教えを体現するかのように、次々と美しい響きの世界を旅します。
2)第2楽章「スケルツォ」と第3楽章「ノクターン」の対比
スケルツォではサン=サーンスの『動物の謝肉祭』を想起させる軽妙な遊び心が、一転してノクターンではショパンを彷彿とさせる繊細で極めてロマンチックな抒情性が際立ちます。
3)第4楽章「ロンド」の快活なフィナーレ
フランス6人組、特にプーランクを思わせるような都会的でウィットに富んだロンド形式が用いられており、華やかで力強い結末を迎えます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
カステレード、ジャック:ピアノ協奏曲第1番
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