一日一曲(1788)カプースチン:トッカータ
本日はカプースチンさんの月命日ですので、カプースチンさんの作品をご紹介します。
【本日のご紹介曲:トッカータ Op.8】
本曲は、カプースチンがジャズ・オーケストラのピアニストとして活動していた1964年に書かれた、初期の筆致が光る記念碑的な作品です。もともとは「ピアノとオーケストラのための」作品として誕生しており、カプースチン自身の鮮烈なピアノと、色彩豊かなビッグバンドのサウンドが火花を散らす、極めてエネルギッシュな競演を楽しむことができます。
特筆すべきは、当時のソ連という環境下でこれほどまでに純度の高い「スウィング」がクラシックの語法と融合していた点です。曲中では、ピアノがパーカッシブな役割を果たしながら、オーケストラの咆哮に負けない強靭な生命力を放ちます。伝統的なクラシックの「トッカータ」が持つ無窮動的な性格と、ジャズ・ビッグバンドのゴージャスな高揚感が見事に調和しており、後のカプースチン作品に通じる「楽譜に完璧に記されたジャズ」の原点ともいえる勢いに満ちています。
【聴きどころ】
1)加速する疾走感と「トッカータ」の伝統
バロック時代から続く「トッカータ(触れる)」という形式の通り、鍵盤を細かく叩くような16分音符の連打が全編を支配しています。クラシックの技巧的な伝統の上に、ジャズの前のめりなビートが重なり、聴き手を一気に終曲まで連れ去るようなスピード感が最大の魅力です。
2)ビッグバンドの色彩を放つピアノの響き
ピアノ一台でありながら、まるで背後にブラス・セクション(管楽器群)がいるかのような重厚な和音や、鋭いアクセントが随所に散りばめられています。中盤で見せる即興風のパッセージも、すべてカプースチンによって計算し尽くされており、その鮮やかな音の重なりは圧巻です。
3)都会的でスリリングなハーモニー
クラシックの構造を持ちながら、響きは極めて都会的なジャズの色彩を帯びています。不協和音さえも心地よく響かせる洗練されたコード進行と、意表を突く転調の連続が、まるで夜の街を高速で駆け抜けるようなスリリングな音楽体験をもたらします。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
カプースチン:トッカータ
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