一日一曲(1826)ベルシュテット、ヘルマン:ファンタジア第1番
本日は、没後100年(1926年6月8日没)を迎えらえたドイツ生まれでアメリカで活躍されたコルネット奏者兼作曲家、ヘルマン・ベルシュテットさんの曲をご紹介します。
【ヘルマン・ベルシュテット:アメリカの金管バンド黄金期を牽引し、コルネットの限界に挑み続けた伝説的な名ヴィルトゥオーゾ】
ヘルマン・ベルシュテット(Herman Bellstedt Jr.)は1858年2月12日、ドイツの自由ハンザ都市ブレーメンに生まれました。コルネット奏者であった父親から最初の音楽教育を受け、幼少期から楽器に親しみます。1867年、9歳のときに家族とともにアメリカへ移住し、オハイオ州シンシナティに定住しました。現地では高名な指導者マイリウス・ヴァイガントに師事し、瞬く間にその才能を開花させます。
15歳となった1873年5月10日、ニューヨークの「アトランティック・ガーデン」で本格的なデビューを飾ると、その卓越した超絶技巧から「少年天才(Boy Wonder)」と称賛され、瞬く間に全米にその名が知れ渡ることとなりました。1874年からはシンシナティ・リード・バンドに加わり、その後も名門ギルモア・バンドや、1904年から1906年にかけては巨匠ジョン・フィリップ・スーザが率いるスーザ・バンドの熱狂的なスター・ソロ奏者として活躍しました。
1892年には自ら「ベルシュテット=バレンバーガー・バンド」を共同設立して指揮者を務めるなど、指導力も発揮します。晩年は1913年よりシンシナティ音楽院の管楽器主任教授に就任し、後進の育成に全力を注ぎました。そして1926年6月8日、カリフォルニア州サンフランシスコにて68年の生涯を閉じました。彼の残した名技性と遊び心に満ちた数々の作品は、現代のトランペットやコルネットの重要なレパートリーとして今なお愛され続けています。
【本日のご紹介曲:「ファンタジア第1番」 (Fantasia No. 1)】
ベルシュテットが自らの超絶的なテクニックを披露するために、そして後進の表現力を磨くために書き下ろした極上のソロピースです。代表作『ナポリ』のような既存の旋律に基づく変奏曲形式とは異なり、本作はベルシュテット自身のオリジナリティ豊かな楽想が次々と現れる「幻想曲(ファンタジア)」のスタイルをとっています。
コルネットやトランペットのポテンシャルを最大限に引き出す構成になっており、きらびやかな技巧と豊かな情感がコンパクトな演奏時間の中に凝縮されています。金管楽器の華やかさと歌心を手軽に味わうことができる、隠れた名作です。
【聴きどころ】
1)圧倒的な存在感を放つ「ブラヴーラ(華々しい)」なオープニング
曲の幕開けから、奏者の高い技術と楽器の輝かしい音色をアピールする挑戦的なテーマが提示されます。ファンファーレを思わせる堂々とした推進力に引き込まれます。
2)中間部「トランキーロ(静かに)」で見せる極上の歌心
激しい技巧の応酬から一転し、非常に美しく、流麗で穏やかな旋律が歌われます。ヴィルトゥオーゾ(達人)作品でありながら、ただ技術をひけらかすだけでなく、深い抒情性を表現する歌唱力が求められる聴きどころです。
3)フィナーレへ向かって熱を帯びる、火花散る快速パッセージ
終盤はテンポを上げ、息をもつかせぬスリリングな快速フィナーレへと突入します。細かなアーティキュレーション(音の区切り方)と敏捷なフィンガリングが火花を散らすように展開し、圧倒的な高揚感とともに締めくくられます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ベルシュテット、ヘルマン:ファンタジア第1番
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