一日一曲(1825)ウェーバー、カール・マリア・フォン:歌劇「魔弾の射手」より「序曲」
没後200年(1826年6月5日没)を迎えらえたドイツの作曲家、カール・マリア・フォン・ウェーバーさん特集の五日目、最終日です。
【カール・マリア・フォン・ウェーバー:激動のオペラ界に革命をもたらしたドイツ・ロマン派音楽の若き先駆者】
第5日:命を削りながら挑んだロンドン、そして永遠の眠りへ
歌劇『魔弾の射手』で未曾有の大成功を収めたウェーバーでしたが、その身体は当時不治の病であった結核に深く蝕まれていました。日増しに衰弱していく中、1824年にロンドンのコヴェント・ガーデン劇場から、英語による新作オペラ『オベロン』の作曲と指揮という破格のオファーが届きます。主治医からは「渡英すれば数ヶ月の命、留まれば数年は生きられる」と宣告されましたが、ウェーバーは残される愛する妻と子供たちのために、高額な報酬が得られるこの契約を受け入れる決意を固めました。血を吐きながら英語を猛勉強し、死の恐怖と闘いながら『オベロン』を完成させます。1826年、這うようにしてロンドンへ渡った彼は、自らの指揮で初演を大成功へと導きました。しかし、彼の命の灯火は限界を迎えていました。帰国を目前に控えた1826年6月5日、滞在先のロンドンで、39歳というあまりにも早すぎる生涯を閉じます。異国の地に一度は埋葬された彼の遺骨は、18年後、彼を深く敬愛するワーグナーらの尽力によってドレスデンへと帰還しました。激動の人生を駆け抜けたロマン派の開拓者は、今も故郷の地で静かに眠っています。
【本日のご紹介曲:歌劇『魔弾の射手』序曲(1820年作曲 / 1821年初演)】
ウェーバーの人生の最高到達点であり、クラシック音楽史上最も完璧な序曲の一つと称えられる名曲をお届けします。オペラ本編の名旋律が贅沢に散りばめられており、単独の管弦楽曲としても圧倒的な完成度を誇ります。深い森の神秘、悪魔の恐怖、そして愛と救済の光といったオペラ全体のドラマが、この約10分間の序曲の中に完璧に凝縮されています。
【聴きどころ】
1)「ロマン派ホルン」の代名詞!深い森の神秘を描く冒頭
静かな弦楽器の導入に続き、4本のホルンが厳かに奏でる旋律は、ドイツの深い鬱蒼とした森の情景を鮮烈に描き出します。これから始まる物語の世界へと、聴き手を一瞬で引き込む魔力を持った冒頭です。
2)不気味な低音と激しい崩壊が描く、悪魔の恐怖
一転して、ティンパニの不気味な連打や低音楽器のうごめきが、不穏な空気を醸し出します。悪魔の邪悪な力や主人公の心の葛藤が、オーケストラの激しい爆発によってスリリングに表現されています。
3)闇を切り裂く勝利のファンファーレと、圧倒的な大団円
短調の暗闇を突き破るように、クラリネットがヒロインの「愛の歓喜」のテーマを歌い上げます。クライマックスでは、オーケストラ全体がまばゆいハ長調の光に満たされ、悪に打ち勝った喜びが爆発する圧倒的な爽快感を味わえます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ウェーバー、カール・マリア・フォン:歌劇「魔弾の射手」より「序曲」
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