一日一曲(1822)ウェーバー、カール・マリア・フォン:ファゴット協奏曲ヘ長調
没後200年(1826年6月5日没)を迎えらえたドイツの作曲家、カール・マリア・フォン・ウェーバーさん特集の二日目です。
【カール・マリア・フォン・ウェーバー:激動のオペラ界に革命をもたらしたドイツ・ロマン派音楽の若き先駆者】
第2日:不当な逮捕と追放を乗り越え、ミュンヘンで花開いた木管の奇跡
1807年、宮廷を失ったウェーバーはシュトゥットガルトへ移り、ヴュルテンベルク公ルートヴィヒの秘書という職を得ます。しかし、この職務は音楽とは無関係の雑務が多く、さらに放漫な公爵家の財政管理や、再び父親が起こした借金トラブルに巻き込まれるなど、精神的に苦しい日々が続きました。追い打ちをかけるように1810年、身に覚えのない公金横領の罪に問われて突如逮捕され、ヴュルテンベルク王国から永久追放処分を受けるという最悪の悲劇に見舞われます。すべてを失ったウェーバーでしたが、この逆境が彼を真のプロフェッショナルな音楽家へと脱皮させました。各地を放浪したのち、1811年に音楽の都ミュンヘンへとたどり着きます。ここでバイエルン宮廷管弦楽団の名クラリネット奏者ハインリヒ・ベールマンと運命的な出会いを果たしました。ベールマンの圧倒的な演奏技術と表現力に深く魅了されたウェーバーは、彼の世界を広げる名作を次々と生み出します。さらに同じ年、宮廷からの依頼でファゴット奏者ゲオルク・フリードリヒ・ブラントのためにも協奏曲を執筆しました。シュトゥットガルトでの理不尽な屈辱を乗り越え、ミュンヘンの豊かな音楽環境のなかで、ウェーバーは木管楽器の可能性を極限まで引き出す独自の才能を完全に開花させたのです。
【本日のご紹介曲:ファゴット協奏曲ヘ長調 Op.75(1811年作曲 / 1822年改訂)】
クラリネット作品と並び、ウェーバーのミュンヘン時代を代表する木管協奏曲の最高峰です。それまでオーケストラの伴奏楽器として地味な役割を担うことが多かったファゴットという楽器にスポットを当て、その表現力の広さを世に知らしめました。ウェーバーらしい劇的な緊張感と、まるでオペラのアリアを歌っているかのような叙情的な美しさ、そして楽器の特性を活かしたコミカルな表現が見事に融合した名曲です。
【聴きどころ】
1)堂々としたオーケストラとファゴットの鮮烈な対比
第1楽章は、オーケストラによる威風堂々とした前奏で幕を開けます。その後に登場するファゴットは、低音から高音までを縦横無尽に駆け巡り、力強さと繊細さを併せ持った主役としての存在感を一瞬で印象付けます。
2)オペラのアリアを聴いているかのような深く美しい歌心
第2楽章の緩徐楽章では、ファゴットという楽器がこれほどまでに切なく、気品に満ちた声で「歌う」ことができるのかと胸を打たれます。まるでイタリア・オペラの一場面を観ているかのような、劇的で甘美な旋律美が堪能できます。
3)ファゴットのユーモラスなキャラクターが爆発するロンド
第3楽章は一転して、跳ねるようなリズムが心地よい快速な音楽となります。ファゴット独特の軽快なスタッカートや、おどけたような音色のニュアンスがふんだんに盛り込まれており、楽器の魅力を100%味わい尽くせる華やかなフィナーレです。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ウェーバー、カール・マリア・フォン:ファゴット協奏曲ヘ長調
ウェーバー、カール・マリア・フォン:ファゴット協奏曲ヘ長調(CD)
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