一日一曲(1866)レイノルズ、ヴァーン:チューバソナタ

 本日は、生誕100年(1926年7月18日生)を迎えらえたアメリカの作曲家、ヴァーン・レイノルズさんの曲をご紹介します。

【ヴァーン・レイノルズ:卓越したホルン演奏の知見を注ぎ込み、管楽器の表現力を極限まで拡張したアメリカの革新的なクリエイター】
 ヴァーン・レイノルズ(Verne Reynolds)は、1926年7月18日にアメリカ合衆国カンザス州のリヨンズ(Lyons)に生まれました。幼少期から音楽に親しんだ彼は、優れた才能を発揮し、シンシナティ音楽院およびウィスコンシン大学で作曲の学位を取得しました。さらにイギリスへ渡り、ロンドンの王立音楽大学でも学びを深めています。 彼は作曲家としてだけでなく、超一流のホルン奏者としても輝かしい足跡を残しました。シンシナティ交響楽団の団員やアメリカ木管五重奏団のメンバーを務めたほか、1959年から1968年にかけてはロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団の首席ホルン奏者として活躍しました。また、イーストマン・ブラス・クインテットの共同創設者でもあり、このアンサンブルとは精力的に世界ツアーやレコーディングを行いました。

教育者としての貢献も極めて大きく、名門イーストマン音楽学校の教授として1995年まで36年間の長きにわたり教鞭を執り、数多くの後進を育成しました。管楽器の特性を完璧に熟知した彼の作品は、高度な技巧と確かな構造を持ち、今なお多くの演奏家に愛されています。晩年まで音楽への情熱を絶やさなかったレイノルズは、2011年6月28日に、教職生活を過ごした思い出の地であるニューヨーク州ロチェスターにて84歳でその生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:チューバソナタ(Sonata for Tuba and Piano)】
 レイノルズが1969年に作曲した「チューバソナタ」は、チューバ奏者のチェリー・ボーリガード(Cherry Beauregard)に捧げられた作品です。
このソナタは、重低音を支えることの多いチューバという楽器に、主役としての新しい光を当てています。半世紀以上前に書かれた音楽でありながら、今聴いても全く色褪せない現代的で新鮮な響きを持っています。
 チューバとピアノが常に対等な関係でぶつかり合い、対話を重ねるスリリングな展開が特徴で、演奏会で取り上げられる機会こそ決して多くはありませんが、現代のチューバ作品における重要なレパートリーの一つとして高く評価されています。
 曲は以下の3つの楽章から構成されており、全体で約13分強の緊密なドラマが繰り広げられます。
  第1楽章:Moderately fast(適度に速く)
  第2楽章:Slow(緩やかに)
  第3楽章:Variations(変奏曲)

【聴きどころ】
1)緻密に絡み合う2つの楽器の「対等なパートナーシップ」
 ピアノが単なる伴奏にとどまらず、チューバと激しく火花を散らしながら、お互いのフレーズを追いかけ、引き立て合います。まるで優れた役者同士が舞台上で即興の掛け合いをしているかのような、息をもつかせぬ一体感が見事です。

2)重低音のイメージを覆す、変幻自在な「音のパレット」
 おっとりしたイメージを持たれがちなチューバが、驚くほど軽快に、そして時には鋭く激しい表情を見せます。第2楽章の静かで深い響きから、第3楽章の変奏曲で見せるテクニカルな変化まで、楽器の可能性を極限まで引き出した多彩な音色を体感できます。

3)半世紀を超えても新鮮に響く「時代を先取りした現代性」
 1969年の作でありながら古さを感じさせず、エッジの効いたリズムやシャープなメロディラインが、心地よい緊張感を生み出しています。演奏者に完璧なテクニックを要求する難曲だからこそ、それを乗り越えた先にある圧倒的なエネルギーが聴き手の心に響きます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
レイノルズ、ヴァーン:チューバソナタ

レイノルズ、ヴァーン:チューバソナタ(CD)

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