一日一曲(1819)カプースチン:チェロ協奏曲第1番
本日はカプースチンさんの月命日ですので、カプースチンさんの作品をご紹介します。
【本日のご紹介曲:チェロ協奏曲第1番】
この作品は、クラシックの伝統的な協奏曲の枠組み(クラシカルな装い)をベースにしながら、ジャズの多彩な要素や語法を極めて高い完成度で融合させた、エネルギーに満ちあふれた名曲です。カプースチン自身は「自分は即興演奏をするいわゆる本当のジャズミュージシャンではなく、作曲のためにジャズを必要とした」と語っており、楽譜に完璧に書き込まれた極上の「ジャズ・サウンド」が、オーケストラとソロ・チェロの対話によって緻密に展開されます。今回ご紹介する演奏を担ったチェリストのエッカート・ルンゲは、この協奏曲を「チェロによる世界旅行のようなもの」と表現しています。1つの作品の中に「交響協奏曲」、「ソロ演奏」、「ジャズ・トリオ」、「ビッグバンド」という4つの異なる宇宙(世界)が凝縮されており、これらが一体となって独自のダイナミックな音楽世界を形作っています。
【聴きどころ】
1)ビッグバンドとシンフォニーが融合した「緊密な対話」(第1楽章:Allegro)
冒頭、オーケストラによる短い導入に導かれ、チェロのソロがまるで「名刺代わり」の鮮烈なフレーズを奏でて登場します。その後、独奏楽器とオーケストラが一体となり、躍動感あふれるエネルギッシュな対話(ダイアログ)へと発展していきます。色彩豊かなシンフォニーの響きと、ビッグバンドを思わせるグルーヴィンなサウンドが交互に押し寄せる、スリリングな展開が大きな魅力です。
2)ルバートを駆使した「甘美で幻想的な世界」(第2楽章:Largo con moto)
テンポを柔軟に変化させる(ルバートを効かせる)ことで、独奏チェロが優しく、どこか夢見がちでロマンティックなメロディを紡ぎ出します。激しいジャズ特有のビートから一転し、マイルス・デイヴィスのバラードを彷彿とさせるような、室内楽的で親密かつ繊細なチェロの音色にじっくりと浸ることができる美しい楽章です。
3)圧倒的な推進力とスウィングで魅せる「究極のバーチュオシティ」(第3楽章:Allegro)
第2楽章から切れ目なく(アタッカで)突入する最終楽章は、途切れることのない強烈な原動力(モーター駆動のようなメカニカルな動き)と心地よいスウィング感に支配されています。チャーリー・パーカーの即興を思わせる超絶技巧(ヴィルトゥオジティ)と、音のニュアンスの細やかな陰影( chattierungen )がソリストに要求され、圧倒的な熱量と興奮のなかで華やかに全曲を締めくくります。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
カプースチン:チェロ協奏曲第1番
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