一日一曲(1857)ソッリマ、エリオドーロ:アリア

 本日は、生誕100年(1926年7月10日)を迎えらえたイタリアの作曲家、エリオドーロ・ソッリマさんの曲をご紹介します。

【エリオドーロ・ソッリマ:時代の前衛的な潮流に縛られることなく、地中海の豊かな多民族的ルーツを独自の叙情へと昇華させ続けた、シチリアが誇る不屈の探求者】
 アントニーノ・エリオドーロ・ソッリマ(Antonino Eliodoro Sollima)は、1926年7月10日にイタリア・シチリア島のマルサーラに生まれました。彼はシチリアが持つ多民族的な音楽のルーツと深く結びつきながら、特定の音楽的潮流や前衛派の枠に完全にとらわれることなく、独自の道を歩んだ音楽家です。彼は優れたピアニストとしても活動する傍ら、旺盛な探求心を持って独自の創作活動を展開していきました。
 1954年から1991年という長きにわたり、パレルモ音楽院で作曲の教鞭を執り、そのうち16年間は同音楽院の院長を務めるなど、後進の育成や音楽教育の発展に多大な貢献を果たしました。彼の教え子には、世界的なチェリストであり作曲家でもある息子のジョヴァンニ・ソッリマや、高名なクラリネット奏者のカロジェロ・パレルモなどが名を連ねています。
 また、ソッリマはその卓越した才能によって、イタリア放送協会(RAI)のナポリ・スカルラッティ管弦楽団やパレルモ・マッシモ劇場、シチリア交響楽団といった数多くの重要な音楽機関や団体から作曲の委嘱を受けました。彼の作品は、エットーレ・グラチスやガブリエレ・フェッロ、ピエロ・ベルージといった著名な指揮者たちによって相次いで演奏され、高い評価を獲得しています。詩人であり社会活動家でもあるダニロ・ドルチは、ソッリマの姿を「歌が消えゆく土地にあって、心の中で歌い、歌うことを切望している人間」と表現し、その独自の芸術性を讃えました。
 晩年まで創作への情熱を燃やし続けたソッリマは、2000年1月3日にパレルモにてその生涯を閉じました。現在、彼の生まれ故郷であるマルサーラには、彼の功績を称えてその名を冠した市民劇場(コンサートホール)が建てられており、その音楽は今なお時代を超えて多くの人々に愛され続けています。

【本日のご紹介曲:アリア(Aria)】
 本曲は、エリオドーロ・ソッリマが1945年に書き上げた初期の傑作です。本作はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、そして2本のチェロという、弦楽四重奏にさらにチェロを加えた非常にユニークな五重奏の編成に向けて書かれています。
 タイトルにある「アリア」とは、もともとオペラなどの歌曲を意味する言葉ですが、本作は17世紀から18世紀の古典的な声楽モデルやダンスからインスピレーションを得ており、楽器がまるで人間の声のように豊かに、そして切なく歌い上げるよう設計されています。若き日のソッリマの瑞々しい感性が溢れるこの作品は、近代的な構成や和声感の中に、どこか懐かしくも情熱的な後期ロマン派風の美しい旋律が織り込まれており、聴く者の心にストレートに響くタイムレスな魅力を放っています。

【聴きどころ】
1)人間の声のように優美に歌う旋律の美しさ
 「アリア」という名にふさわしく、楽器たちがまるで感情豊かに語りかけてくるかのような、叙情的で情熱的なメロディラインが大きな特徴です。美しく心に深く染み入る旋律は、聴く人を自然とその世界観へと引き込みます。
2)2本のチェロがもたらす深みのある重厚な響き
 通常のピアノ四重奏や弦楽四重奏とは異なり、低音を支えるチェロが2本編成されていることで、アンサンブル全体に独特の温かみと重厚な陰影が生まれています。チェロのまろやかで奥深い響きが、楽曲の持つロマンティックな切なさをより一層際立たせています。
3)伝統と近代的な響きが融合した、時代を超越するスタイル
 バロックや古典派の様式を想起させる端正な美しさの中に、色彩豊かな近代の響きが絶妙に融合しています。特定の流行に偏らないソッリマ独自の「いつの時代にも色褪せない」美しい響きを存分に堪能することができます。

 本日の演奏の中のチェリストの一人は、作曲者の息子さんのチェリスト、ジョヴァンニ・ソッリマさんです。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ソッリマ、エリオドーロ:アリア

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