一日一曲(1809) カトゥアール、ゲオルギー:ヴァイオリンソナタ第1番ロ短調

 没後100年(1926年5月21日没)を迎えらえたロシアの作曲家、ゲオルギー・カトゥアールさん特集の三日目です。

第3日:室内楽の黄金時代 —— 盟友メトネルとの精神的共鳴
 音の一粒までが厳密に計算された「音の建築物」。室内楽という親密な形式の中で、カトゥアールの芸術は頂点に

 20世紀初頭、カトゥアールは室内楽の分野で次々と傑作を世に送り出しました。この時期、彼は作曲家ニコライ・メトネルと深い親交を結びます。メトネルはカトゥアールの「非妥協的な美学」を尊敬し、カトゥアールもまたメトネルの古典的な形式美に共感しました。メトネルが「カトゥアールは、現代において最も価値ある音楽を書いている」と絶賛したように、彼の室内楽は当時の専門家たちの間で高く評価されていました。
 彼の室内楽作品は、ドビュッシーのような色彩的なハーモニーを持ちながら、構造的にはブラームスのように堅牢です。ヴァイオリンやピアノが織りなす旋律は、複雑な網目状の対位法によって構築されています。しかし、その作品が要求する極めて高度な演奏技術と、知的密度の高さゆえに、大衆的な成功とは距離を置くことになります。カトゥアールは、安易な流行に背を向け、音楽の純粋な真理を追求する「孤高の知性」として、ロシア音楽界に君臨したのです。

【本日のご紹介曲:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ロ短調 Op. 15(1900年-1902年頃(作曲))】
 盟友メトネルに献呈された、カトゥアールの室内楽を代表する至宝です。

【聴きどころ】
1)第1楽章の堅牢な構築美
 ソナタ形式という伝統的な枠組みの中で展開される、目まぐるしい和声の変化。一瞬たりとも目が離せない、知的な刺激に満ちた音楽です。
2)第2楽章「舟歌」の気品
 水面に反射する光のような繊細なピアノの響きの上で、ヴァイオリンが高貴に歌い上げます。瞑想的で穏やかな美しさが支配する名章です。
3)対等なダイアローグ
 ピアノは伴奏ではなく、ヴァイオリンと完全に互角の立場で絡み合います。緻密なパズルを組み立てるような愉悦と、音楽的な感動が融合しています。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
カトゥアール、ゲオルギー:ヴァイオリンソナタ第1番ロ短調

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