一日一曲(1802)グッリン、ガブリエラ:アダージョ・カンタービレ

 本日は、一昨日の作曲家の長女かつ昨日の作曲家の妹にあたる作曲家、ガブリエラ・グッリンさんの曲をご紹介します。

【ガブリエラ・グッリン:ジャズの血脈を現代の聖歌へと昇華させ、厳かな祈りと豊かな色彩を紡ぎ出す音の建築家】
 ガブリエラ・グッリン(Gabriella Gullin)は、1961年3月5日、スウェーデンのストックホルムで生まれました。父ラーシュ・グッリンは、彼女の誕生を祝して美しいワルツ『Gabriella』を作曲しています。
 父や兄ペーターがバリトン・サックス奏者としてジャズ界を牽引したのに対し、彼女はクラシック音楽の教育を専門的に受けました。ストックホルム王立音楽大学で作曲、ピアノ、オルガン、指揮を学び、高度な作曲技法を習得します。彼女の音楽活動は多岐にわたり、作曲家としてだけでなく、合唱指揮者やオルガニストとしても北欧の教会音楽シーンで重要な役割を担っています。
 彼女の作風は、北欧特有の透き通った叙情性を土台にしつつ、教会音楽の伝統的な美しさと現代的な響きを融合させたものです。また、父の遺した楽譜の整理や、父のジャズ作品を合唱や室内楽へと編曲する活動も精力的に行っており、グッリン一家の音楽的遺産を現代に繋ぐ「架け橋」のような存在です。

【本日のご紹介曲:アダージョ・カンタービレ(Adagio cantabile)】
 2005年に録音された、彼女の自作自演アルバム『For Those Borne in Mind』に収録されているオルガン独奏曲です。

【聴きどころ】
1)オルガンの荘厳な響きと「歌心」
 本来は荘厳で客観的な響きを持つオルガンという楽器を用いながら、タイトルに「カンタービレ(歌うように)」とある通り、人間味のある温かな旋律が紡がれます。これはグッリン一家に共通する「楽器で歌う」という精神の表れといえます。
2)静寂の中に息づく「北欧の哀愁」
 直接的なジャズのフレーズが出るわけではありませんが、父ラーシュの音楽にも通底するスウェーデン特有の寂寥感(ヴェモード)が、たゆたうような和声の変化や静かな残響の中に息づいています。
3)祈りの空間を演出する音作り
 過度な装飾を排し、一音一音の重なりと教会の空間に消えていく残響を計算に入れた構成になっています。聴き進めるうちに、北欧の教会の透明な空気の中に身を置いているような、深い安らぎを感じることができます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
グッリン、ガブリエラ:アダージョ・カンタービレ

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