一日一曲(1804)サロネン、スロ:小前奏曲

 本日は、没後50年(1976年5月21日没)を迎えらえたフィンランドの作曲家、スロ・サロネンさんの曲をご紹介します。

【スロ・サロネン:変容する様式の中で伝統と現代を編み上げ、北欧の教会の響きを刷新したポリフォニーの探求者】
 スロ・サロネンは1899年1月27日、フィンランド南部のピュフテーに生まれました。初期の音楽教育としてエリック・フルヒェルムに師事した後、1933年にセリム・パームグレンのもとで学び、さらに1938年から1944年にかけてはギュンター・ラファエルから作曲の指導を受け、その技法を磨きました。
職業人としては、1929年から1948年までピエタルサーリで教会音楽家として活動し、その後、1952年から1964年にかけてカウニアイネンやシポーの地でも同様の職務を務めています。サロネンは自身の音楽語法を常にアップデートし続ける探求心を持っており、1950年代から60年代にかけては、ドイツ、スイス、オーストリア、イタリアなどへ度々研究旅行に赴き、現地の音楽動向を吸収しました。
彼の作風は当初、変奏技法や対位法に根ざした伝統的なものでしたが、やがて半音階主義を取り入れ、さらには現代的な手法へと進化を遂げました。代表作には『受難カンタータ』(1942年)や『レクイエム』(1962年)といった宗教的な声楽曲が多く、オルガン曲の分野でも重要な足跡を残しています。長年にわたり北欧の教会音楽の近代化に貢献したサロネンは、1976年5月21日、ペルナヤの地でその生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:小前奏曲(Pieni preludi)】
 本曲は、サロネンのオルガン作品の中でも、彼の様式美が凝縮された小品です。伝統的な響きと20世紀の新しい語法を融合させようとした彼の創作姿勢がよく表れています。
 本曲は、異なる複数の調性を同時に響かせる「多調性(ポリトーナリティ)」という手法を用いて書かれています。教会の荘厳な空気感を保ちつつも、どこか幻想的で現代的な響きの移ろいを感じさせるのが特徴です。

【聴きどころ】
1)多調性が生む独特の色彩
 重なり合う異なる調性が、オルガンの豊かな倍音とともに不思議な浮遊感を生み出します。
2)モチーフの巧みな展開
 非常に簡潔で分かりやすい旋律の断片が、対位法的に絡み合いながら展開していく様子が見事です。
3)モダンな空間構築
 伝統的な楽器であるオルガンを用いながら、20世紀的な音の重なりによって、聴き手を新鮮な音響空間へと誘います。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
サロネン、スロ:小前奏曲

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