一日一曲(1752)ブリーゲル、ヴォルフガング・カール:12の宗教的マドリガーレより第1曲「しかし、ダニエルよ(Du aber, Daniel)」

 本日は、生誕400年(1626年5月21日生)を迎えらえたドイツの作曲家、ヴォルフガング・カール・ブリーゲルさんの曲をご紹介します。

【ヴォルフガング・カール・ブリーゲル:シュッツの伝統を継承し、ドイツ・バロックの橋渡しをした合唱音楽の巨匠】
 ヴォルフガング・カール・ブリーゲルは、1626年5月21日、ニュルンベルク近郊のケーニヒスベルク・イン・バイエルンに生まれました。幼少期にニュルンベルクの聖ゼーバルト教会で合唱団員として活動し、名高い音楽家ヨハン・エラスムス・キンドermannらに師事して音楽の基礎を築きました。
 1645年頃、シュヴァインフルトの教会のオルガニストに就任した後、1650年にゴータのエルンスト1世(敬虔公)の宮廷楽団に歌手および教職として招かれます。ここでその才能を認められた彼は、1654年に宮廷楽長へと昇進しました。ゴータでの勤務時代に、彼は自身の代表作となる多くの宗教曲集を出版し、その名声はドイツ全土に広がりました。
 1671年、ブリーゲルはダルムシュタットのルートヴィヒ6世に招かれ、宮廷楽長として移籍します。彼はこの地で、宮廷音楽の整備やオペラ上演に尽力し、約40年間にわたって音楽監督としての重責を果たしました。彼の作風は、ハインリヒ・シュッツから学んだイタリアのマドリガーレ様式と、ルター派の伝統であるコラールを融合させた点に最大の特徴があります。この知的な構成美は、後のJ.S.バッハのカンタータ様式にも先駆けるものでした。長きにわたりドイツ音楽界の重鎮として活動を続けた彼は、1712年12月1日、ダルムシュタットにおいて86歳でその生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:『12の宗教的マドリガーレ』より 第1曲「しかし、ダニエルよ(Du aber, Daniel)」】
 この曲は、1660年にゴータで出版された曲集『12の宗教的マドリガーレ(Zwölff Madrigalische Trost=Gesänge)』の巻頭を飾る作品です。
 この曲集は、愛する者を亡くした人々への「慰め(Trost)」を目的として書かれました。特にこの第1曲は、聖書と賛美歌のテキストを巧みに組み合わせたブリーゲルの技法が凝縮されています。中心となるのはダニエル書第12章13節の御言葉であり、そこにヨハネの黙示録第14章13節、さらにニコラウス・ヘルマンによる賛美歌「わが最期の時が来たれるとき」の第5節が絡み合う、非常に密度の高い構成となっています。

【聴きどころ】
1)3つのテキストが織りなす立体的な対位法
 「神からの呼びかけ(ダニエル書)」、「死者の幸福を説く聖句(黙示録)」、「個人の信仰告白(賛美歌)」という3つの異なる視点が、独立した旋律として同時に歌われます。これらが重なり合う瞬間の、バロック特有の知的な響きをぜひ聴き取ってみてください。
2)言葉の意味を際立たせる旋律の動き
 「ruhe(安らぎ、眠り)」という箇所では旋律が静かに落ち着き、「auffstehest(立ち上がる、復活する)」という箇所では希望を感じさせる動きを見せます。言葉の内容を音で描く、マドリガーレ様式ならではの細やかな表現が見事です。
3)通奏低音と合唱の調和
 歴史的なオルガン(Ehrlich-Orgelなど)の響きを背景に、ソプラノからバスまでが緊密に受け答えをします。死を「悲しみ」だけでなく、永遠の命への「希望」として描く、明るくも厳かな和音の変化が印象的です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ブリーゲル、ヴォルフガング・カール:12の宗教的マドリガーレより第1曲「しかし、ダニエルよ(Du aber, Daniel)」

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