一日一曲(1797)エシュマン、ヨハン・カール:日記

 本日は、生誕200年(1826年4月12日生)を迎えらえたスイスの作曲家、ヨハン・カール・エシュマンさんの曲をご紹介します。

【ヨハン・カール・エシュマン:スイス・ロマン派の橋渡し役を担った、ライプツィヒ楽派直系の名匠】
 ヨハン・カール・エシュマン(Johann Carl Eschmann)は、1826年4月12日にスイスのウィンタートゥールで、音楽家一家の息子として誕生しました。
 1840年代、彼は当時ヨーロッパ音楽の最先端であったライプツィヒ音楽院へ留学します。そこでメンデルスゾーンから直接の薫陶を受け、シューマンとも知己を得ました。この経験が彼の作風の礎となり、古典的な端正さとドイツ・ロマン派の抒情を兼ね備えたスイス独自の音楽世界を構築することになります。
 帰国後の1850年からは、終生にわたりチューリヒを拠点に活動しました。ピアニスト、教師、作曲家として、当時のチューリヒ音楽界の発展に大きく寄与しました。特筆すべきは、同地に滞在していたリヒャルト・ワーグナーや、後に親交を結ぶヨハネス・ブラームスといった巨匠たちとの深い交流です。彼は当時のスイスにおいて、彼ら進歩的な音楽家たちと地域社会を繋ぐ重要な役割を果たしました。
 また、ピアノ教育の指針となる重要な著作を残すなど、教育者としても高名でした。1882年10月27日、56歳でその生涯を閉じましたが、彼の洗練された作品群は、スイスの音楽文化が地方的なものから脱却し、ロマン派の潮流に乗るための先駆的な存在となりました。

【本日のご紹介曲:『日記(作品26)』 (Tagebuch, Op. 26)】
 作曲年:1871年
 この作品は、もともと「4つの性格的小品」として1871年に出版された曲集ですが、現代の演奏(NML等)では、その中の第1曲「アンダンテ・レリジオーソ(Andante religioso)」が単独で『日記』というタイトルで紹介・演奏されることが一般的です。
 シューマンが「日記」に日々の想いを綴ったように、内省的で親密な対話のような音楽です。

【聴きどころ】
1)「アンダンテ・レリジオーソ」が奏でる聖なる静寂
 冒頭から流れるコラール(賛美歌)風の和音は、派手な装飾を排した敬虔な美しさを持っています。日々の喧騒を忘れさせるような、穏やかな祈りの響きに注目してください。
2)言葉のない「歌」としての抒情性
 師メンデルスゾーンの『無言歌』の流れを汲む、優雅で流麗なメロディラインが特徴です。ピアノがまるで優しく語りかけているかのような、親密な歌心を感じることができます。
3)スイス的な澄んだ透明感
 ドイツ・ロマン派の影響を受けつつも、どこかスイスの自然を思わせるような、澄み切った和声感が魅力です。甘すぎず、それでいて心の奥底に染み入るような洗練された響きを楽しめます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
エシュマン、ヨハン・カール:日記

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