一日一曲(1808)カトゥアール、ゲオルギー:4つの小品

 没後100年(1926年5月21日没)を迎えらえたロシアの作曲家、ゲオルギー・カトゥアールさん特集の二日目です。

第2日:独自和声の探求 —— ワーグナーへの傾倒と独自の進化
 西洋の最新理論とロシアの感性を融合させ、スクリャービンをも先取りする独自の和声体系を築いた研鑽期

 1880年代末から1890年代にかけて、カトゥアールは自身の音楽語法をより深化させていきました。彼はリヒャルト・ワーグナーの「楽劇」に強い衝撃を受け、その半音階的な和声語法を徹底的に分析しました。しかし、当時のロシア音楽界は「国民楽派」の影響が強く、西洋的な革新は批判されることもありました。
 カトゥアールは他者の評価に惑わされることなく、数学徒らしい客観的な視点で音楽を捉え続けました。1890年代後半に発表された作品群には、ワーグナーの官能的な響きに加え、フランス印象派にも通じる色彩感、そして彼独自の「和声の機能性」への深い洞察が反映されています。特に、既存の長短調の枠組みを超えようとする試みは、後のスクリャービンが到達する神秘主義的な音響の先駆けとなりました。サンクトペテルブルクの厳格なアカデミズムと、モスクワの自由な気風の両方を吸収した彼は、誰にも似ていない唯一無二の様式を確立したのです。

【本日のご紹介曲:4つの小品(4 Morceaux) Op.12(1901年出版)】
 カトゥアールのピアノ音楽において、和声の洗練が一段と進んだ時期の重要作です。彼の「色彩的な音響」を鮮明に伝える曲集です。

【聴きどころ】
1)第1曲「夕べの歌 (Chant du soir)」
 夕暮れの光が刻々と変化するように、和声がグラデーションを描きながら移ろいます。静謐ながらも豊かな色彩を放つ、カトゥアール流の音の絵画です。
2)第2曲「瞑想 (Méditation)」
 複数の旋律がポリフォニック(多声的)に重なり合い、数学的な必然性を持って解決していく様は、理論家カトゥアールの真骨頂とも言える知的な美しさです。
3)第3曲「夜想曲 (Nocturne)」
 ショパン的な夜想曲の伝統に、ワーグナー風の官能的な半音階が加わっています。夜の静寂の中に現れる神秘的な響きは、ドビュッシーにも通じる先駆的な感覚を持っています。
4)第4曲「幻想的エチュード (Étude fantastique)」
 スクリャービンの後期作品に近い「飛翔するエネルギー」と「恍惚感」を併せ持つ難曲です。複雑なリズムと和声が火花を散らす圧巻のフィナーレを楽しめます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
カトゥアール、ゲオルギー:4つの小品

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