一日一曲(1471)ダックワース、ウィリアム:タイム・カーヴ・プレリュード第1番
本日は、昨日ご紹介した曲が捧げられた作曲家、ウィリアム・ダックワースさんの曲をご紹介します。
ダックワースさんは1943年1月にアメリカ合衆国のノースカロライナ州で生まれました。イーストカロライナ大学で音楽の学士号を取得し、その後イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で音楽教育の修士号と博士号を取得しました。在学中に作曲家ジョン・ケージの記譜法に関する博士論文を執筆されていらっしゃいます。1977年に全米芸術基金からフェローシップを授与されたほか、2002年には現代美術財団のアーティスト助成金賞を受賞されていらっしゃいます。晩年は膵臓がんとの長い闘病の末、2012年にニュージャージー州ウェストニューヨークの自宅で69歳で亡くなられました。
本日の曲はピアノ独奏曲集「タイム・カーヴ・プレリュード」より第1番です。本曲集は24曲の短い曲で構成されています。ただし、24の調性全てが使われているわけではありません。1977年から1978年にかけて、全米芸術基金のフェローシップで作曲され、1979年にウェズリアン大学で初演されました。ミニマリズムの要素が使われていますが、純粋なものではなく、より急速に変化する構造、広範囲で複雑なメロディー、カラフルな不協和音などもちりばめられています。さらに、フォークミュージック、ジャズ、中世音楽、エリック・サティ、バンジョーをかき鳴らすジェリー・リー・ルイスのスタイルなども参照されています。また、フィボナッチ数列を使用して、数値グリッドを使用して設定された比例パターンとリズミカルパターンも使用されています。そして、この作品の最も中心的なのは中世グレゴリア聖歌の旋律「Dies Irae(怒りの日)」で、作品の中心的な動機となっているとのことです。この「Dies Irae(怒りの日)」に関しては、大変興味深いところですが、残念ながら全曲がNMLにはUPされていないことと、解説がないので、良く分からない部分が多いです。ただ、本日ご紹介する第1番では、0分24秒からの部分で、「Dies Irae(怒りの日)」の旋律の変形が出てきています。全曲通して是非聞いてみたい曲です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ダックワース、ウィリアム:タイム・カーヴ・プレリュード第1番