一日一曲(1918)フィリドール、ジャック:ティンパニ行進曲
本日は、フィリドール一族ご紹介の三日目となります。本日は、昨日ご紹介したアンドレ・ダニカン・フィリドールの弟にあたる作曲家、ジャック・ダニカン・フィリドールさんの曲をご紹介します。
【ジャック・ダニカン・フィリドール:兄と共に太陽王ルイ14世の宮廷を支え、王室軍楽隊や劇場の熱気溢れる空間でオーボエを響かせた管楽器の名手】
ジャック・ダニカン・フィリドール(Philidor le Cadet / 弟フィリドール)は、1657年5月5日にフランスのマント=ラ=ジョリーで生まれました。
音楽家を多数輩出する名門フィリドール一族の主要なメンバーの一人であり、兄のアンドレ(父フィリドール)と共にルイ14世のヴェルサイユ宮廷で目覚ましい活躍を見せた人物です。
彼は若くして管楽器の演奏技術を磨き、1679年には王室軍楽隊(Grande Écurie:王室厩舎音楽隊)の「グランド・オーボエ(Grands Hautbois)」奏者として任用されました。その後、王室礼拝堂や王立音楽アカデミー(パリ・オペラ座)の管弦楽団のオーボエ奏者・バスン奏者としても重用され、ジャン=バティスト・リュリらのオペラ公演や宮廷の壮大な祝宴において、その卓越した演奏を披露して宮廷人たちを魅了しました。
演奏家として多忙を極める傍ら、彼は王宮の儀式やカルーセル(騎馬劇)、軍事行進のために自らも多くの舞曲や行進曲を作曲しました。彼の作品は、当時の王室軍楽隊ならではの力強く爽快なアンサンブルを存分に活かしたものが多く、兄アンドレの手写本(フィリドール・コレクション)によって現代にもその譜面が大切に書き残されています。
兄と共にフィリドール家の宮廷における音楽的地位を不動のものとし、長男ピエールをはじめとする次世代の子供たちへもその優れた演奏技術と音楽性を伝えた彼は、1708年5月27日にヴェルサイユにてその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:アンドレ・ダニカン・フィリドール&ジャック・ダニカン・フィリドール:ティンパニ行進曲(Marche de timballes)】
本曲は1685年、太陽王ルイ14世のために開催された豪華絢爛なカルーセル(騎馬劇)のために、兄のアンドレと弟のジャックが兄弟で共同作曲した打楽器作品です。軍楽隊の伝統的な即興演奏スタイルをベースに作られており、管楽器を伴わずティンパニ(太鼓)のみで演奏される非常に珍しく力強い行進曲です。
【聴きどころ】
1)2対のティンパニが織りなす立体的なアンサンブル
本来は2人の演奏者がそれぞれ音高の異なる一対(2台)のティンパニを担当し、対話するようにフレーズを交わし合うスリリングな二重奏として書かれています。
2)全体を貫く冒頭モティーフと緻密な対比
曲全体を貫く統一感のあるリズム・モティーフから始まり、リズムがぴたりと揃う部分、シンコペーション(アクセントのずらし)、模倣効果などが巧みに織り交ぜられています。
3)圧巻のクライマックスと打楽器の躍動感
曲の締めくくりとなる最終部分(クープレ)は、圧倒的な演奏技術が要求される見せ場となっており、バロック時代の軍楽隊が持っていた威厳とエネルギーを今に伝えています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フィリドール、ジャック:ティンパニ行進曲
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