一日一曲(1911)カプースチン:ディヴェルティメント
本日はカプースチンさんの月命日ですので、カプースチンさんの作品をご紹介します。
【本日のご紹介曲:ディヴェルティメント Op.91】
本曲は1998年に作曲されました。2本のフルート、チェロ、ピアノという非常にユニークで魅力的な編成のために書かれた室内楽作品です。
カプースチンといえば、緻密に組み上げられたクラシック音楽の厳格な形式の中に、ジャズ特有の複雑なハーモニーやシンコペーションなどのリズム言語、そして豊かなスウィング感を高度に融合させるスタイルで知られています。本作でもその本領が遺憾なく発揮されており、4つの楽器が持つそれぞれの音色や表現力を最大限に活かしながら、ジャズ特有の色彩豊かな和声感を余すところなく探求しています。
作品は以下の対比豊かな全3楽章から構成されています。
<第1楽章 Preludio: Andantino>
優雅で心地よいテンポ感の中にジャジーな和声感が広がる前奏曲です。ピアノとチェロが提示する安定したリズムの土台の上で、2本のフルートが即興演奏のように伸びやかで流麗なメロディを絡み合わせていきます。
<第2楽章 Fuga: Allegro moderato>
バロック音楽の代表的な厳格対位法である「フーガ」に、カプースチン独特のジャズ対位法を応用した非常に独創的な楽章です。モーリス・ラヴェルのような精妙なオーケストレーションを思わせる質感の中で、各楽器がテーマを複雑かつ鮮やかに受け継ぎながら、緻密なアンサンブルを展開します。
<第3楽章 Finale: Allegro>
作品のフィナーレを飾る、エネルギッシュで華やかな楽章です。疾走感あふれるリズムと洗練されたメロディがめまぐるしく交錯し、4つの楽器の技巧とダイナミズムが頂点へと達します。
アドリブ(即興)を一切使わず、すべての音符が細かく譜面に記譜されているにもかかわらず、まるでその場で極上のジャズ・セッションが行われているかのような臨場感と生命力に満ち溢れています。クラシックの重厚な室内楽の伝統と、ジャズの自由で洗練されたフィーリングが見事に調和した、カプースチン作品の中でも屈指の極上アンサンブルです。
【聴きどころ】
1)2本のフルートが織りなす極上のダイアローグ
フルート2本という編成を生かし、高音域で息を合わせて奏でられるスウィング感あふれるメロディや、複雑なシンコペーションの掛け合いが大きな魅力です。まるで2人のヴォーカリストが即興で掛け合っているかのような、軽やかで華やかな対話を堪能できます。
2)バロックとジャズが融合した「フーガ」の技巧
第2楽章のフーガでは、本来厳格で堅苦しいイメージのあるフーガの形式の中に、洗練されたジャズのコード感やリズムが見事に組み込まれています。緻密に計算されたポリフォニー(多声構造)でありながら、聴き心地はスタイリッシュという、カプースチンならではの作曲技法が際立つポイントです。
3)グルーヴ感を支えるピアノとチェロのアンサンブル
フルートの自由度の高いメロディを支えるピアノとチェロのリズム・セクションとしての役割も見逃せません。ベースラインと打楽器的な役割を巧みに果たすピアノ、そして低音で全体の重心を支えつつ温かみのあるトーンを添えるチェロが生み出す、抜群のグルーヴ感と立体的なサウンドを味わうことができます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
カプースチン:ディヴェルティメント
|
|
