一日一曲(1910)ティルソン・トーマス、マイケル:Symphony Cowgirl
本日は、本年(2026年)4月22日に逝去されました、アメリカの作曲家、マイケル・ティルソン・トーマスさんの曲をご紹介します。
【マイケル・ティルソン・トーマス:20世紀後半から現代にかけて、アメリカのアカデミックな伝統とポピュラー音楽のスピリットを融合させ、独自の音楽世界を切り拓いた鬼才】
マイケル・ティルソン・トーマス(Michael Tilson Thomas)は、1944年12月21日にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれました。演劇や映画の分野で活動したユダヤ系の芸術一家に育ち、南カリフォルニア大学でピアノや指揮、作曲を学びました。
若くして頭角を現した彼は、1969年にボストン交響楽団の副指揮者に就任し、途中で急病となったウィリアム・スタインバーグの代役として指揮台に立ったことで一躍注目を集めました。1987年には若手音楽家の育成を目的としたニュー・ワールド・シンフォニーをマイアミビーチに設立し、芸術監督として長年にわたり後進の指導に尽力しました。また、1988年から1995年までロンドン交響楽団の首席指揮者を務めています。
彼のキャリアにおいて最も象徴的な軌跡となったのが、1995年から2020年まで実に25年間にわたり音楽監督を務めたサンフランシスコ交響楽団との歩みです。同団を世界最高峰のオーケストラへと押し上げ、マーラーの交響曲全曲録音プロジェクトや、現代音楽・アメリカ音楽を積極的に取り上げる革新的なプログラミングで高い評価を得ました。指揮者・ピアニストとして活躍する一方、作曲家としてもアメリカの文学やポピュラー文化をテーマにした多様な作品を発表し続けました。
2021年に悪性脳腫瘍(膠芽腫)の診断を受けたことを公表した後も、精力的に指揮活動や作品の記録を残し、音楽への情熱を燃やし続けました。そして2026年4月22日、親しい家族や友人に囲まれながら、カリフォルニア州サンフランシスコの自宅で81歳の生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:「Symphony Cowgirl(シンフォニー・カウガール)】
作曲年:2001年
演奏時間:約5分
13年間にわたりサンフランシスコ交響楽団のプレジデント(理事長)を務め、同団の発展に大きく貢献したナンシー・ベクテル(Nancy Bechtle)の退任を称えるため、2001年に作曲されました(作詞も作曲者自身です!)。2001年12月3日、リサ・ヴローマンのソプラノ独唱、トーマス自身のバックボーカルおよびサンフランシスコ交響楽団の楽員らによるカントリー・バンド編成によって初演されました。
カントリー&ウェスタン音楽をこよなく愛したナンシーへ贈るトリビュートとして書かれており、オーケストラの運営や寄付金集めに奔走する理事長のコミカルでリアルな苦労話を、親しみやすいカントリー調の歌に乗せたユーモアあふれる小品です。
【聴きどころ】
1)クラシックとカントリー&ウェスタンの軽妙な融合
オーケストラのメンバーが奏でる軽快なツービートのリスムやバイオリン(フィドル)の軽やかなフレーズに乗せて、洗練されたカントリー・ソングが展開します。格式高いクラシックの舞台とオープンなカントリー音楽が見事に調和しています。
2)ウィットに富んだ歌詞とリアルな楽屋裏エピソード
トーマス自身が手がけた歌詞には、「電話でのお世辞」「気難しくわがままなマエストロ(指揮者)たちの機嫌取り」「寄付金を募るための苦労」など、オーケストラ経営の舞台裏がユーモラスに描かれており、思わずクスッと笑わせられます。
3)サビ(サビ部分)で歌われる音楽へのまっすぐな情熱
歌詞のブリッジ(サビ)部分では、「すべてを報わせてくれるのは、バッハやモーツァルト、チャイコフスキーが残した美しいオーケストラ音楽だ」という感動的なメッセージが歌い上げられます。多忙な日常を支える「音楽への愛」がまっすぐに伝わる情熱的な旋律が印象的です。
本日は作曲者の自作自演(指揮)でどうぞ!
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ティルソン・トーマス、マイケル:Symphony Cowgirl
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