一日一曲(1928)ウィルズ、アーサー:アメイジング・グレイスによる変奏曲
本日は、生誕100年(1926年9月19日生)を迎えらえたイギリスの作曲家、アーサー・ウィルズさんの曲をご紹介します。
【アーサー・ウィルズ:イギリスカテドラル音楽の伝統を守りつつモダンな感性を吹き込んだパイプオルガンの巨匠】
アーサー・ウィルズ(Arthur William Wills)は、1926年9月19日にイギリスのコヴェントリーで生まれました。独学でオルガン演奏の基礎を学び、奨学金を得てロンドンのトリニティ音楽院で研鑽を積みました。1949年にイーリー大聖堂の助手に任命され、1958年から1990年までの長きにわたり音楽監督(Organist and Master of the Choristers)として大聖堂の音楽伝統を支えました。同時に1964年から1992年まで王立音楽院(RAM)の教授を務め、後進の育成にも深く貢献しました。国際的なリサイタリストとして世界中で演奏活動を行い、伝統的な聖歌隊作品からオペラや吹奏楽合奏曲に至る多様な作品を遺しました。大聖堂音楽への功績が認められ、1990年には大英帝国勲章(OBE)を授与されています。長年拠点としたイーリーにて、2020年10月30日に94歳で亡くなりました。
【本日のご紹介曲:アメイジング・グレイスによる変奏曲(Variations on Amazing Grace)】
本曲は、1974年に作曲され(1976年出版)、1978年にLP「Full Stops」のためにレコーディングされたオルガン独奏のための変奏曲です。世界中で親しまれている有名な讃美歌の旋律を題材に、ウィルズならではの多彩な和声感とオルガン技法を凝縮させた秀作です。
【聴きどころ】
1)原曲旋律の静かな呈示と厳かな色彩感
冒頭では、馴染み深い旋律が美しく静かなストップ(音色)で厳かに奏でられます。パイプオルガンの豊かな残響の中で広がる旋律が、楽曲全体の神秘的な響きを予感させます。
2)対比豊かな変奏による音色の変化
変奏が進むにつれて、テンポやリズムが細かく変化していきます。ある変奏では即興的で力強い音の重なりを見せ、またある変奏では軽快なアーティキュレーションが顔を出すなど、楽器の持つ表情の豊かさを多角的に堪能できます。
3)壮大なトゥッティによる圧巻のクライマックス
曲の最後では、オルガンの全パイプを鳴らしきるような圧倒的なフル・オルガン(トゥッティ)でテーマが回帰・再現されます。重厚で広がりのある残響とともに、聖堂全体を包み込むようなダイナミックなフィナーレが聴き手をとらえます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ウィルズ、アーサー:アメイジング・グレイスによる変奏曲
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