一日一曲(1932)コルトレーン、ジョン:A Love Supreme(至上の愛)

 本日は、生誕100年(1926年9月23日生)を迎えらえたアメリカのサックス奏者兼作曲家、ジョン・コルトレーンさんの曲をご紹介します。

【ジョン・コルトレーン:ジャズの歴史に巨大な足跡を残し、その音色で神への祈りを深く表現した孤高の巨星】
 ジョン・コルトレーンは、1926年9月23日にアメリカ合衆国ノースカロライナ州のハムレットで生まれました。音楽一家に育った彼は、高校時代にクラリネットやアルトホルンを演奏し始めますが、1938年に祖父や父を相次いで亡くすという悲劇に見舞われました。その後、家族でフィラデルフィアへ移住し、17歳の誕生日に母親からアルト・サックスを買い与えられたことが、彼の人生を決定づける第一歩となります。1945年、海軍での兵役から戻った直後にチャーリー・パーカーの演奏を初めて聴き、「両目の間を打ち抜かれたような」衝撃を受け、プロのジャズ・ミュージシャンとしての道を本格的に歩み始めました。
 1950年代に入ると、マイルス・デイヴィスやセロニアス・モンクといった巨匠たちのグループに参加し、次第にその才能を開花させていきます。しかし、この時期の彼は薬物やアルコールへの依存に苦しんでおり、1957年にはマイルスのバンドから解雇されるという大きな挫折を味わいました。ところが、この出来事をきっかけにコルトレーンは深い霊的な体験を得て、自らの意志であらゆる依存を断ち切ります。この劇的な改心以降、彼の音楽は単なる技巧の追求にとどまらず、自己の探求と神への感謝を捧げる求道的なものへと変貌を遂げていきました。
 1960年代には自身のバンドを率いて、「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれる圧倒的な音符の奔流でジャズの限界を押し広げます。数々の革新的なアプローチを取り入れ、シーンにおける圧倒的なカリスマ性を確立しました。しかし、音楽の深淵を求め続けた彼の歩みは、突然の終わりを迎えます。1967年7月17日、ニューヨーク州ハンティントンにて、肝臓がんにより40歳という若さでこの世を去りました。リーダーとしての本格的な活動期間はわずか10年ほどでしたが、彼の残した音楽と精神は、今なお世界中の人々の魂を強く揺さぶり続けています。

【本日のご紹介曲:A Love Supreme(至上の愛)】
 本曲は1964年12月に録音されました。全4パート(「承認」「決意」「追求」「賛美」)からなる組曲形式をとっており、コルトレーンが自身をどん底の依存症から救い出してくれた神への深い感謝を音楽として表現した、彼のキャリアの頂点と言える記念碑的作品です
 本日は、珍しい合唱バージョンです。本作の編曲は、スウェーデンの音楽家ニルス・リンドベリ(Nils Lindberg)が手がけています。

【聴きどころ】
1)冒頭における原曲テーマの引用
 このアレンジでは、コルトレーンの有名な原曲のテーマが導入部(イントロダクション)でのみ引用されています。

2)レコードスリーブの詩を用いた独自の展開
 原曲のレコードのジャケット(スリーブ)には、コルトレーンによる長大なテキストが元々印刷されていました。編曲者のリンドベリはそのテキストを取り入れ、そこに独自の声を付け加えることで新たな楽曲として展開しています。

3)名門合唱団によるストックホルムでのライブ録音
 本音源の演奏は、グスタフ・ショークヴィスト室内合唱団(Gustaf Sjökvist Chamber Choir)によるものです。1999年12月3日に、ストックホルムの大聖堂(Storkyrkan)で行われたコンサートでのライブ録音として収録されています。ジャズとのつながりを持ちながらも、合唱曲として表現された独特の響きを味わえます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
コルトレーン、ジョン:A Love Supreme(至上の愛)

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