一日一曲(1933)ブルダン、ロジェ:パンのシャンソン
本日は、没後50年(1976年9月23日没)を迎えらえたフランスのフルーティスト作曲家、ロジェ・ブルダンさんの曲をご紹介します。
【ロジェ・ブルダン:バロックからジャズ、大衆音楽の垣根を軽やかに越え、音楽の神々に愛された多才なフランスの巨匠フルート奏者】
ロジェ・ブルダンは1923年1月27日に生まれ、1939年にパリ音楽院でマルセル・モイズのクラスのプルミエ・プリ(首席)を受賞しました。ピアノと和声を学びながら、わずか17歳という若さでラムルー管弦楽団の首席フルート奏者に就任し、1940年から1963年までその重責を担いました。とりわけ、シャルル・ミュンシュの指揮のもとアテネのディオニュソス劇場(アクロポリスの麓)でラヴェルの「ダフニスとクロエ」のソロを演奏したことは、彼の生涯で最も美しい思い出となりました。コンサートの直前、楽屋のトイレでミュンシュから「わが子よ、今朝のように歌うように演奏しなさい。私が君の後をついていくから」と声をかけられたこのエピソードは、彼の心を深く揺さぶり、得難い感動をもたらしました。国際的なソロ活動においてもクラシックからジャズ、バラエティに至るまで縦横無尽に活躍し、ディスク大賞を3度受賞しています。また、かつて自身が学び始めたヴェルサイユ音楽院では、1943年から教授として後進の指導にあたりました。1976年9月23日、ビエーブルでの音楽講習会の最中、最後の愛弟子であるイヴァヌ・ベアトリス・ベロックとの最後のレッスンを終えた直後に突然の脳卒中(発作)に見舞われ、そのまま急逝しました(享年53)。晩年は豊かな即興演奏を繰り広げ、多くの学生たちの記憶に永遠に刻まれる伝説的な存在となりました。
【本日のご紹介曲:パンのシャンソン (La chanson de Pan, 1968)】
ドビュッシーの傑作『パンの笛(シリンクス)』への深いリスペクトと独自の独創性が息づく、ブルダンによる魅惑的なフルート曲です。ドビュッシーの世界観を継承しながらも、独自の音楽的アプローチによって生み出されており、洗練されたハーモニーの美しさが際立つ芸術的な一曲となっています。
【聴きどころ】
1)ドビュッシーの「シリンクス」を思わせる神秘的な佇まい
冒頭から漂う古代神話のような叙情性と、フルートの息づかいがダイレクトに伝わる繊細な空間美が魅力です。
2)伝統と独自のオリジナリティが融合した旋律線
名作の系譜を強く意識させながらも、ブルダンならではの豊かな和声感覚と洗練された表現力が、唯一無二の音響世界を作り上げています。
3)簡潔な構成の中に宿る深い詩情
短い楽曲でありながら、限られた音のなかに色彩豊かな情景や豊かなファンタジーが凝縮されており、聴き手を一瞬にして神話の森へと誘います。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ブルダン、ロジェ:パンのシャンソン
ブルダン、ロジェ:パンのシャンソン(amazon music)
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