一日一曲(1935)アルバネージ、カルロ:願い、ロマンス
本日は、没後100年(1926年9月26日没)を迎えられたイタリアの作曲家兼ピアニスト、カルロ・アルバネージさんの曲をご紹介します。
【カルロ・アルバネージ:王室や貴族に愛され、鉄道の中でもサイレントピアノで指を鍛え続けた、ナポリ出身の高貴なる英国ピアノ楽壇の重鎮】
カルロ・アルバネージは、1858年10月22日にイタリアのナポリで生まれました。音楽家であった父のルイージ・アルバネージやサビーノ・ファルコニの下で音楽の手びきを受けましたが、父があまりにも多くの生徒を抱えていたため、彼へのレッスンは父が自分の髭を剃っている朝のわずかな時間にしか行えなかったというユニークなエピソードが残されています。
イタリアで初期の演奏会を成功させた後、20歳でパリへ渡り、1882年には作曲家トスティの推薦を受けてロンドンへ移住しました。ロンドンではその卓越したデリカシーと表現力豊かなカンタービレの演奏が評判を呼び、イギリスの王室や貴族階級からも手厚い庇護を受けました。また、彼は旅行中の鉄道車両のなかや演奏会の楽屋にも小さな「サイレント・ピアノ」を持ち込み、絶えず指の訓練に励むほどの努力家でもありました。
1893年からは名門ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック(王立音楽院)のピアノ教授に就任し、亡くなるまでの33年間にわたって後進の指導に情熱を注ぎました。同僚や学生たちから絶大な敬愛を集め、ローマン・フレイザーやメアリー・ルーカスといった優れた音楽家を育て上げています。作曲家としても60曲以上の作品を残し、特に大規模なピアノソナタなどは彼の創作の中心をなすものですが、自身の作品を公開の場で演奏することはめったになかったと言われています。私生活では女優のマギー・アルバネージを娘に持ち、イタリア王冠勲章のシュヴァリエ章も受勲しました。晩年まで教育と創作に心血を注いだ彼は、1926年9月26日にロンドンにてその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:願い、ロマンス】
1910年に出版された「願い、ロマンス」は、親しみやすい美しさとロマンティックな情感がたっぷりと詰まった、愛らしいピアノ曲です。穏やかな9/8拍子のリズムに乗せて、優しく語りかけるような旋律が静かに紡ぎ出されます。小さな作品でありながらも、音楽のなかに豊かなドラマや感情の起伏が繊細に描き出されており、聴く人の心を温かく包み込んでくれるような魅力を持っています。
【聴きどころ】
1)繊細で対話的な冒頭の表情
変ロ長調の落ち着いた響きの中、控えめな半音階を含んだ伴奏と歌うような旋律がまるで対話をしているかのように優しく始まります。
2)中間部で見せるドラマチックな高まり
短調への転調やテンポの加速(アニマンド)に伴い、オクターブやフォルテを活用した情熱的で劇的な表現へと大きく変化します。
3)情熱的なクライマックスを迎えるコーダ
再現部のあとに訪れる生き生きとしたコーダでは、最高潮となる「ff e con passione(情熱をもって、非常に強く)」の華麗な響きがドラマの締めくくりを飾ります。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
アルバネージ、カルロ:願い、ロマンス
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