一日一曲(1785)ジャダン、ヤサント:ピアノソナタ第2番嬰ヘ短調
本日は、生誕100年(1926年月日生)を迎えらえたフランスの作曲家兼ピアニスト、ヤサント・ジャダンさんの曲をご紹介します。
【ヤサント・ジャダン:夭折の天才、フランス音楽の夜明けを彩った旗手】
ヤサント・ジャダンは、1776年4月27日にフランスのヴェルサイユにて、音楽家の一族に生を受けました。叔父や父、そして兄ルイ=エマニュエルに囲まれた環境で育った彼は、幼少期から驚異的な才能を発揮し、わずか9歳で最初の作品を出版した神童です。13歳の時には、当時パリで最も権威のあった演奏会「コンセール・スピリチュエル」でピアニストとしてデビューを飾り、その鮮やかな演奏技巧で聴衆を圧倒しました。1795年にパリ音楽院が設立されると、弱冠19歳という若さでピアノ教授に任命されるという、前代未聞のスピードで出世を遂げた逸材です。
彼の生きた時代は、まさにフランス革命が社会を根底から揺さぶっていた激動期でした。伝統的な宮廷音楽が崩壊し、市民のための新しい音楽が求められる中、彼は自身の作品に燃えるような情熱と、それまでの古典派には見られなかった大胆な和声法を注ぎ込みました。特に弦楽四重奏曲やピアノ・ソナタにおいては、後のハイドンやモーツァルトの延長線上にありながらも、シューベルトを予感させるような繊細で内省的な旋律美を確立しています。
しかし、華々しい成功の陰で、その身体は結核に蝕まれていました。革命直後の混乱と、音楽院での多忙な教授職が彼の体力を徐々に奪い、1800年9月27日にパリで惜しまれつつこの世を去りました。24歳という短すぎる生涯の中で彼が残した革新的な響きは、19世紀ロマン派音楽の扉を叩く重要な先駆けとなった功績です。もし彼が長命であれば、ヨーロッパ音楽の歴史は塗り替えられていたのではないかと、今なお多くの研究者が口を揃える存在です。
【本日のご紹介曲:ピアノソナタ第2番嬰ヘ短調Op.4-2】
この曲は、1795年に出版された「3つのピアノ・ソナタ 作品4」の第2曲であり、ジャダンの独創性が際立つ傑作です。
【聴きどころ】
1)情熱的な短調の響き
当時のフランス音楽としては非常に珍しく、また鋭い響きを持つ「嬰ヘ短調」が選ばれており、全編を通して緊迫感のあるドラマが展開されます。
2)ロマン派の先駆け
古典派のソナタ形式に則りながらも、突然現れる物悲しい旋律や自由な和声進行は、数十年後のロマン派音楽を強く予感させます。
3)鮮やかなピアニズム
自身が優れたピアニストであったため、鍵盤を広く使った華やかな技巧と、歌い上げるような旋律の対比が見事です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ジャダン、ヤサント:ピアノソナタ第2番嬰ヘ短調
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