一日一曲(1805)クーパー、ポール:ヴァリアンツ
本日は、生誕100年(1926年5月19日生)を迎えらえたアメリカの作曲家、ポール・クーパーさんの曲をご紹介します。
【ポール・クーパー:緻密な論理構成と現代的な音響を融合させ、独自の美学を追求したアメリカ現代音楽の重鎮】
ポール・クーパーは、1926年5月19日にイリノイ州ヴィクトリアで生まれました。彼は南カリフォルニア大学(USC)で学んだ後、フランスへ渡り、パリのソルボンヌ大学やパリ国立高等音楽院で研鑽を積みました。
帰国後は、1968年までミシガン大学音楽学部の理論科主任を務めた後、シンシナティ大学音楽院に移籍し、作曲・理論・文学・音楽学部門の長およびレジデンス・コンポーザーとして1974年まで活躍しました。1974年からは、ライス大学シェパード音楽学校の教授兼レジデンス・コンポーザーに任命されています。
彼は作曲家としてだけでなく、音楽批評家や理論家としても優れた足跡を残しました。著書『Perspectives in Music Theory(音楽理論の展望)』は、北米の250を超える大学で採用されるなど、教育現場でも高く評価されています。また、ロサンゼルス・ミラー紙などで音楽批評を担当し、音楽学術誌にも寄稿するなど多才な面を持っていました。
晩年まで教職と創作を並行して行い、1996年4月4日にテキサス州ヒューストンにてその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:オルガンのための「ヴァリアンツ(Variants)」】
本作は1971年から1972年にかけての冬、多くのアメリカ人オルガニストからの要望に応える形で作曲されました。クーパーはそれ以前にもオルガン曲を2曲書いていますが、それらが伝統的な書法を用いていたのに対し、本作では「楽器の総体(totality)を使用する」という非常に異なる挑戦を自身に課しています。
この曲の核心となる動機は、彼の合唱と管弦楽のための大作『Credo(クレド)』の最も厳かな場面から引用されており、思索や瞑想、そして静かで強烈に個人的な祈りが込められています。
【聴きどころ】
1)「音色」による対位法
従来の音符の連続による対位法ではなく、異なる音色の重なりや変化によって音楽を構築する、オルガンの特性を最大限に活かした「音色の対位法」が展開されます。
2)電子音楽的なアプローチ
作曲家自身が「伝統的な楽器のための電子音楽」と表現するように、レジストレーション(ストップの選択)や構成の面で、当時の最先端の音響感覚が取り入れられています。
3)最小限の動機の変容
わずか「2音」からなる動機が、絶え間なく変化する音響環境の中でどのように発展し、瞑想的な世界を作り上げていくのか、そのプロセスに注目してください。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
クーパー、ポール:ヴァリアンツ
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