一日一曲(1835)大野雄二 :「ルパン3世」のテーマ

 本日は、本年(2026年)5月4日に逝去されました、ピアニスト兼作曲家、大野雄二さんの曲をご紹介します。

【大野雄二 :日本中にジャズの粋と色気を浸透させ、アニメ音楽の概念を覆した稀代のヒットメーカー】
 大野雄二(おおの ゆうじ)氏は、1941年(昭和16年)5月30日に静岡県熱海市で生まれました。小学校時代からピアノを始め、高校時代には早くもジャズの魅力に取り憑かれ、独学でその語法を習得したといいます。慶應義塾大学法学部に進学後は、名門ビッグバンド「慶應義塾大学ライトミュージックソサエティ」に所属しました。当時は、のちに日本のジャズ界を牽引することになる鈴木宏昌氏、佐藤允彦氏とともに「慶應のピアノ三羽烏」と呼ばれ、学生時代からその頭角を現していました。
 大学卒業後、プロのジャズピアニストとして本格的に活動を開始します。藤家虹二クインテットや白木秀雄クインテットといった名門バンドを経て、自身のトリオを結成して活躍しました。しかし、1970年代前半にはピアニストとしての活動を一度休業し、作曲家・編曲家としての活動に専念するようになります。この転身が、彼の才能をさらに開花させるきっかけとなりました。膨大な数のCM音楽を手がける一方で、テレビドラマや映画の劇伴(背景音楽)の世界へ進出し、1976年には映画『犬神家の一族』の音楽を担当して毎日映画コンクール音楽賞を受賞しました。
 そして1977年、テレビアニメ『ルパン三世』の第2シリーズの音楽を担当したことで、その名声は決定的なものとなります。それまでの子ども向けアニメ音楽の常識を打ち破る、洗練された都会的なジャズやクロスオーバーのサウンドを導入し、お茶の間に新鮮な衝撃を与えました。その後も映画『人間の証明』のテーマ曲や、NHKの番組『小さな旅』のテーマ曲など、日本人の心に残り続ける名曲を次々と世に送り出しています。晩年も自身のバンドを率いてライブ活動を精力的に行い、生涯にわたってジャズの楽しさと格好良さを伝え続けました。直前まで普段と変わらない様子で過ごされていましたが、2026年(令和8年)5月4日、老衰のため東京都内の自宅にて84歳で息を引き取りました。

【本日のご紹介曲:「ルパン三世」のテーマ】
 1977年に発表されたこの楽曲は、テレビアニメ『ルパン三世(新・第2シリーズ)』のオープニングテーマとして書き下ろされました。それまでアニメの主題歌といえば、主人公の名前や必殺技を歌詞に盛り込んで歌うものが主流でしたが、大野氏はあえて「インストゥルメンタル(歌のない器楽曲)」をメインに据えるという、当時としては極めて大胆な挑戦を行いました。
 ジャズやファンク、ロックのエッセンスを融合させた「クロスオーバー(フュージョン)」と呼ばれるスタイルで書かれており、スリリングで洒脱な空気感が見事に表現されています。時代に合わせて何度もアレンジが重ねられており、1978年版、1979年版、1980年版など、長年にわたってファンに愛され続けている日本屈指のポップ・インストゥルメンタルです。

【聴きどころ】
1)インパクト抜群のブラス・セクション
 曲の冒頭から鳴り響く、トランペットやトロンボーンなどの管楽器による鮮烈なフレーズが、一気に泥棒たちのスリリングな世界へと引き込みます。鋭く尖った音色と、都会的なコード(和音)の響きが合わさることで、最高にクールな疾走感が演出されています。
2)哀愁を帯びた、口ずさめるキャッチーなメロディ
 派手な伴奏の中で演奏されるメインのメロディは、どこか日本の「演歌」や「歌謡曲」にも通じるような、ちょっぴり切なく哀愁を帯びた旋律になっています。この絶妙なメロディラインがあるからこそ、楽器だけの演奏であっても、一度聴いたら忘れられない強い印象を残します。
3)躍動するベースラインと卓越したリズム
 ジャズ・ピアニストである大野氏ならではの、緻密に計算された低音の動き(ベースライン)が曲の推進力を生み出しています。ただ速いだけでなく、ファンキーで「グルーヴ(心地よいノリ)」のあるリズムが土台を支えているため、自然と身体が動き出してしまうような心地よさを味わえます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
大野雄二 :「ルパン3世」のテーマ

大野雄二 :「ルパン3世」のテーマ(CD)

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