一日一曲(1836)ディアス・カノ、マヌエル:トゥリーナへのオマージュ
本日は、生誕100年(1926年6月17日生)を迎えらえたスペインのギタリスト兼作曲家、マヌエル・ディアス・カノさんの曲をご紹介します。
【マヌエル・ディアス・カノ:熱きスペインの魂を指先に宿し、イタリアに『アランフエス』の衝撃を初めてもたらした不世出のギターの伝道師】
マヌエル・ディアス・カノは、1926年6月17日にスペインのカスティーリャ=ラ・マンチャ地方にあるアルバセテの町アグラムン(エリン)に生まれました。 わずか6歳の頃から、アマチュアの愛好家であった父親の手ほどきによってギターに親しみ始めます。 その後、一家でムルシアへと移住し、そこではペドロ・ゲレーロという優れた指導者のもとでさらに技術を磨くこととなりました。
若きギタリストとしての才能を開花させた彼は、1941年からは首都マドリードの王立音楽院へと進学し、より本格的な音楽教育を受けます。 1949年に同音楽院での課程を最優秀の成績で修了すると、彼は当時スペインの保護領であったモロッコへと渡り、その地に留まることを決意しました。 この北アフリカへの移住は、彼の音楽的感性やのちの作品にユニークな異国情緒をもたらす重要な契機となりました。
1951年には、イタリアでの初めての演奏ツアーを敢行します。 このツアーは大成功を収め、のちに彼はイタリア国内において、ホアキン・ロドリーゴの名曲『アランフエス協奏曲』を初めて演奏したギタリストとして、現地の音楽史にその名を刻むことになりました。 その後、1975年からはムルシア高等音楽院のギター科主任教授に就任し、後進の育成にも多大な貢献を残します。演奏活動と並んで、祖国の伝統を受け継いだ自作の発表にも生涯にわたり情熱を注ぎ続けた彼は、2007年4月19日、長年深い絆で結ばれたゆかりの地ムルシアにて、80歳でその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:『トゥリーナへのオマージュ(Homenaje a Turina)』】
この作品は、マヌエル・ディアス・カノ自身が作曲し、1963年に録音を残したギター独奏曲です。
タイトルにある「トゥリーナ(ホアキン・トゥリーナ)」は、スペインの豊かな民族音楽と近代的な音楽スタイルを融合させた、20世紀前半の偉大な作曲家です。
ディアス・カノは、この偉大な先達への深い敬意と憧れを込めて本作を書き上げました。楽曲全体を通じて、スペインの熱い情熱と、どこか物憂げで美しいメロディが交錯します。高度な演奏技術が求められる作品でありながら、聴き手にとっては、まるでスペインの街並みや風景が目の前に浮かび上がるような、親しみやすくドラマチックな展開を持った名曲です。
【聴きどころ】
1)先達へ捧げる色彩豊かなスペインの情感
巨匠トゥリーナの作風を彷彿とさせる、情熱的でありながら洗練されたメロディラインが魅力です。哀愁を帯びた旋律が次々と姿を変えていく、ドラマチックな色彩の変化をお楽しみいただけます。
2)ギターならではの多彩な音響効果
ディアス・カノ自身の卓越した演奏技術が反映されており、弦をかき鳴らす情熱的な奏法や、遠くで響く鐘の音のような繊細な響きなど、ギターという楽器が持つ表現力が最大限に引き出されています。
3)伝統と近代的センスの美しい融合
アンダルシア地方の伝統的な民族音楽のステップを思わせるリズムと、20世紀の近代音楽らしいお洒落で少し意外性のある和音の響きが見事に調和しており、最後まで新鮮な気持ちで聴き進めることができます。
本日は作曲者自身の演奏でどうぞ!1963年、ディアス・カノさん37歳の時の録音です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
※サイト内では「ディエス・カノ」と登録されています。
ディアス・カノ、マヌエル:トゥリーナへのオマージュ
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