一日一曲(1965)ギボンズ、クリストファー
本日は、没後350年(1676年10月20日没)を迎えられたイギリスの作曲家、クリストファー・ギボンズさんをご紹介します。
【クリストファー・ギボンズ:父オーランドの音楽的遺産を受け継ぎ、清教徒革命と王政復古の激動を越えて英国の教会音楽と器楽の発展を支えた、17世紀イングランドの鍵盤音楽の名手】
クリストファー・ギボンズ(Christopher Gibbons)は、1615年、イングランドのロンドンに、作曲家オーランド・ギボンズの息子として生まれ、8月22日にウェストミンスターの聖マーガレット教会で洗礼を受けました。
父オーランドは英国を代表する作曲家でしたが、クリストファーが9歳の1625年に急逝し、翌年には母も亡くなりました。幼くして両親を失ったクリストファーは、叔父のエドワード・ギボンズのもと、エクセター大聖堂の聖歌隊で音楽教育を受けました。
1638年にはウィンチェスター大聖堂のオルガニストに就任しました。しかし、清教徒革命と内戦によって英国の教会音楽は大きな打撃を受け、クリストファー自身も王党派に加わるなど、不安定な時代を過ごしました。
1660年に王政復古が実現すると、再び音楽活動の機会が広がり、王室礼拝堂やウェストミンスター寺院のオルガニスト、国王チャールズ2世の宮廷オルガニストとして活躍しました。1664年にはオックスフォード大学から音楽博士号を授与されています。
作曲家としては、英国伝統の対位法を受け継ぐ一方、イタリアから伝わった新しい器楽様式や舞台音楽にも関心を示しました。マシュー・ロックと協力して仮面劇『キューピッドと死』の音楽を手がけ、ファンタジア組曲や宗教声楽曲などを残しています。
また、ジョン・ブロウら次世代の音楽家の育成にも関わり、のちにヘンリー・パーセルが活躍する英国音楽の土壌を整えました。
1676年10月20日、ロンドンで61歳で亡くなり、ウェストミンスター寺院の回廊に埋葬されました。
【代表作品5選】
1. 『キューピッドと死』(Cupid and Death、1653年初演)
1653年に初演され、1659年に再演された仮面劇の音楽。現存する1659年の楽譜には、マシュー・ロックの音楽とともにクリストファーによる歌曲や合唱曲が含まれています。寓意的な物語に歌、合唱、器楽を組み合わせた、英国の初期音楽劇を知るうえで重要な作品です。
2. 『われらにではなく、主よ』(Not unto us, O Lord)
8声の宗教合唱曲。重なり合う声部による豊かな対位法と荘厳な響きが特徴で、オックスフォードでの博士号取得に関係する作品です。
3. 『主に向かって歌え』(Sing unto the Lord)
1674年刊行の宗教声楽曲集『Cantica Sacra』に収録されたアンセム。英語の聖句を自然な旋律に乗せ、信仰の喜びを表現しています。
4. 『いつまで私をお忘れになるのですか』(How long wilt thou forget me)
1674年の『Cantica Sacra』にも収録された、詩編に基づく宗教声楽曲。神への切実な問いかけを、声楽の表情豊かな旋律で描き出しています。
5. 『ファンタジア組曲第1番 ニ短調』(Fantasia-Suite No. 1 in D minor)
高音域と低音域のヴィオール、オルガンのための器楽作品。ファンタジア、アルマンド、ガリアードの3部分からなり、英国伝統の対位法と舞曲のリズムを組み合わせています。
(NMLシステム障害のため、代表作品を文章のみでご紹介します)
