一日一曲(1770)メゴー、ヤン:3本のフルートのためのカノン

 本日は、生誕100年(1926年4月14日生)を迎えらえたデンマークの作曲家、ヤン・メゴーさんの曲をご紹介します。

【ヤン・メゴー:伝統的な技法に現代の息吹を吹き込み、シェーンベルク研究の権威としても北欧の音楽界を牽引し続けた知性の探求者】
 ヤン・メゴー(Jan Maegaard)は、1926年4月14日にデンマークのコペンハーゲンで生まれました。1945年から1950年にかけてデンマーク王立音楽アカデミーにて、クヌーズ・イェッペセンやポウル・シアベクらのもとで作曲と音楽理論を学びます。その後、コペンハーゲン大学で音楽学を専攻し、1957年に修士号を取得。さらに1958年から1959年にかけてはロサンゼルスへ留学し、その研鑽の場を広げました。
 1959年からはコペンハーゲン大学で教鞭を執り、1971年には教授に就任して後進の育成にあたります。作曲家としての初期は、デンマークの巨匠カール・ニールセンの影響下にありましたが、1955年の『ピアノ・ソナタ 作品27』で国内初となる十二音技法を本格的に導入し、戦後のデンマーク音楽における先駆的な役割を果たしました。また音楽学者としても、1972年に発表したシェーンベルクの十二音技法に関する膨大な博士論文により、世界的な評価を不動のものにしています。
 彼の作風は、厳格なセリエリズムから、より柔軟で表現豊かな語り口へと変遷を続け、デンマーク作曲家協会の会長などの要職も歴任しました。学術的な緻密さと芸術的な感性を融合させ、同国の現代音楽シーンを支え続けた彼は、2012年11月27日、フレデンスボーにてその豊かな生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:3本のフルートのためのカノン 作品68】
 『3本のフルートのためのカノン(Canon for 3 Flutes, Op. 68)』は、1981年に発表された作品です。メゴーが長年研究してきた対位法の知識と、フルートという楽器の持つ透明感のある音色が巧みに融合されています。
 カノンとは、一つの旋律を複数の声部が追いかけていく形式ですが、メゴーはこの曲において、単なる模倣ではない複雑な「時間のズレ」を組み込みました。3本のフルートは、時に寄り添い、時に反発し合うように独自のラインを描き、聴き手を不思議な音の迷宮へと誘います。数学的な構造美を持ちながらも、決して冷たくならず、フルート特有の軽やかさが心地よい作品です。

【聴きどころ】
1)万華鏡のように変化する音響
 3本のフルートが同じ旋律を追いかけながら重なり合うことで、音が幾重にも層を成し、刻一刻と響きの色彩が変化していく様子を堪能できます。
2)「迷宮」を思わせる緻密な構成
 カノンの構造の中に、主題の変容が巧妙に隠されています。旋律がどのように受け継がれ、変化していくのかを追いかける楽しさがあります。
3)静かに時間が止まるような終止
 曲の最後、それまで独立して動いていた3つの声部がぴたりと揃い、音楽が「終わる」のではなく、ふっと「停止」するような神秘的な幕切れは必聴です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
メゴー、ヤン:3本のフルートのためのカノン

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