一日一曲(1813)ホロヴィッツ、ジョーゼフ:ユーフォニアム協奏曲

 本日は、生誕100年(1926年5月26日生)を迎えらえたオーストリア出身のイギリスの作曲家、ジョーゼフ・ホロヴィッツさんの曲をご紹介します。

【ジョーゼフ・ホロヴィッツ:伝統的な形式美とモダンな叙情性を融合させ、ユーフォニアムを芸術の域へと昇華させたウィーンの巨匠】
 ジョーゼフ・ホロヴィッツは1926年5月26日、オーストリアのウィーンに生まれました。ユダヤ系の一家に育ちましたが、ナチスの台頭に伴い1938年にイギリスへの亡命を余儀なくされました。オックスフォード大学ニューカレッジで学んだ後、ロンドンの王立音楽大学(RCM)にてゴードン・ジェイコブに師事。さらにパリへ渡り、伝説的な教育者ナディア・ブーランジェのもとで研鑽を積みました。
 1950年代からはバレエやオペラの指揮者として活動する傍ら、放送音楽や舞台音楽の世界でその才能を発揮します。彼の功績で特筆すべきは、ブラスバンドや吹奏楽にクラシカルな気品を持ち込んだことです。1972年に誕生した「ユーフォニアム協奏曲」は、それまで伴奏楽器としての役割が強かった同楽器に、真の独奏楽器としての市民権を与えた金字塔となりました。
 晩年は王立音楽大学の教授として長年教鞭を執り、イギリス音楽界の精神的支柱として多大な尊敬を集めました。自身の過酷な亡命経験を物語るような重苦しさをあえて見せず、常に明快なユーモアと洗練された叙情を重んじた作品を書き続けました。2022年1月23日、ロンドンにて95歳でその生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:ユーフォニアム協奏曲(Concerto for Euphonium)】
 1972年に、当時の名手トレヴァー・グルームの委嘱により作曲されました。ユーフォニアムという楽器の真価を世に知らしめた、歴史的意義の極めて高い作品です。古典的な3楽章形式の中に、ジャズの色彩や都会的なセンスが光ります。

【聴きどころ】
1)「歌う楽器」としての真骨頂(第2楽章)
 「レント・コン・モート」の指示があるこの楽章は、ユーフォニアムの最も美しい音域を存分に生かしています。切なくも温かい旋律は、この楽器が「テノール歌手」に例えられる理由を雄弁に物語っています。
2)躍動する知的なリズム(第3楽章)
 終楽章は、快活なロンド形式です。複雑な変拍子やシンコペーションが組み込まれており、奏者の卓越した技巧と、ホロヴィッツ特有の軽妙なユーモアが交錯するスリリングな展開が楽しめます。
3)洗練された形式美
 全体を通して、無駄な装飾を削ぎ落とした構成の美しさが際立っています。独奏楽器と伴奏が対等に語り合うような構成は、この楽器を単なるブラスバンドの一員ではなく、純音楽的なソロ楽器として確立させました。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ホロヴィッツ、ジョーゼフ:ユーフォニアム協奏曲

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